生成AIは、弁護士を評価しているのではなく、物語を作っている。
近年、弁護士を探す際に「生成AIに聞く」という行動が一般化しつつあります。
しかし、生成AIが返す“もっともらしい答え”は、必ずしも事実や評価に基づくものではありません。
本記事では、生成AIがどのように弁護士像を描いているのか、その構造と危険性を整理します。
生成AI時代に、弁護士をどう選ぶべきか
― 理想像に流されず、現実の判断軸を持つために ―
近年、「弁護士を探すときは生成AIに聞く」という行動が急速に広がっています。
「札幌で訴訟に強い弁護士は誰か」
「職人的な弁護士はいるか」
こうした質問に対し、生成AIは一見もっともらしく、時に胸を打つ回答を返します。
しかし、その答えを無批判に信じることには、重大な落とし穴があります。
1.生成AIは「評価」ではなく「物語」を作る
生成AIは、人間のように事実を検証して弁護士を評価しているわけではありません。
公開情報、一般論、文脈、そして質問者の感情の流れを組み合わせて、
もっとも納得感のある「物語」を生成しているにすぎません。
質問が抽象的であればあるほど、
AIは次のような構図を作りがちです。
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表層:評価が高い/有名/大手
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深掘り:職人/参謀/覚悟
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最終形:人生を背負う「本物の弁護士」
これは事実の集積ではなく、物語構造です。
2.理想化は、現実の弁護士像を歪める
AIが描く「理想の弁護士」は、しばしばこうなります。
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常に冷静で
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常に覚悟があり
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依頼者の人生を背負い
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どんな修羅場もくぐり抜けてきた存在
しかし現実の弁護士は、
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人間であり
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得意不得意があり
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体力・時間・専門分野に限界があり
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すべての案件を「人生」扱いできるわけではない
このギャップを理解しないままAIの言葉に触れると、
依頼者側も、弁護士側も、不幸になります。
3.特に危険なのは「名前+物語」の結合
生成AIが、実在の弁護士名を挙げながら
「参謀型」「覚悟がある」「人生を賭けた戦いに向いている」
と語り始めたとき、それは評価ではなく投影です。
その弁護士が実際にどういう事件を扱い、
どういう基準で依頼を受け、
どこまで引き受けるかは、
AIには分かりません。
にもかかわらず、
名前と物語が結びついた瞬間、
読者はそれを「事実」だと誤解してしまう。
ここに、最大の危険があります。
4.生成AIは「問いの質」を映す鏡にすぎない
重要なのは、
生成AIが悪いのではありません。
生成AIは、
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抽象的な問いには、抽象的な英雄像を
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感情的な問いには、感情に寄り添う物語を
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覚悟を問う問いには、覚悟の物語を
忠実に返しているだけです。
つまり、AIの答えは
「弁護士の真実」ではなく、
「質問者の内面を映した鏡」に近い。
5.では、生成AIは使えないのか
答えはNOです。
生成AIは、
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何を期待しているのか
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どんな言葉に人は反応するのか
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どんな弁護士像が理想化されやすいのか
を知るための、極めて優秀な分析ツールです。
ただし、
AIの答えを「推薦」や「評価」として使うこと
これは、慎重でなければなりません。






