※本稿は、当時の出来事をもとにした問題提起です。
しかし現在は、SNS・動画拡散・切り抜き・生成AIによる再流通などにより、
「判断より先に公開・拡散が走る社会」が、さらに強まっています。
その場では「正しい」と思った投稿でも、
後から、自分自身が法的・社会的責任を負う場面は珍しくありません。
現代では、
「何を公開するか」だけではなく、
・どこで止まるべきだったのか
・誰が現実責任を負うのか
・拡散後に何が制御不能になるのか
まで含めて考える必要があります。
特に現在は、
一度公開された情報が、AI検索・要約・転載・再編集によって、半永久的に流通し続ける可能性があります。
感情より先に投稿し、
判断より先に拡散が走る社会だからこそ、
「初動で何をするか」が、以前より重要になっています。(2026.5 記)
会社を守る法律講座
月刊「財界さっぽろ」2013年12月取材
「店員に〝土下座〟強要…女を逮捕」
――TVニュースで、前田先生が解説しているの見ました。
前田 もともとはSTVの「どさんこワイド」の取材だったのですが、ニュースが全国発信となり、日本テレビ系列の「NEWS ZERO」、翌朝の「ZIP!」でも放映されていました。
事件は、札幌市の衣料品店「しまむら」でタオルケットに穴が空いているというクレームをつけて返金を受けた上、店員に土下座をさせるなどした女性が逮捕されたというものでした。
強要罪(刑法223条)は、かいつまんで言うと脅しや暴力で本当はしなくて良いことをさせたりできることをやらせないようにしたりする犯罪です。
超人気ドラマ「半沢直樹」のブームにより、「倍返し」や「土下座」がはやり、簡単に思われがちですが、よほどのことがあっても土下座なんてしません。「強要するつもりはなかった」と言っても弁解にはなりません。
――その後、札幌地検は女性に前科がなく反省しているということで、不起訴処分にしたようです。
前田 はい。しかし、女性が土下座の画像をコメントとともにツイッターに投稿したことについては、名誉毀損(きそん)罪で略式起訴され、札幌簡裁は罰金30万円の略式命令を出しました。
――どういうことでしょうか。
前田 近年、とんでもない動画や画像がどんどんインターネット上に公開され、拡散されたという事態が社会現象となっています。土下座させるような行動がまかり通ることはもちろん許されませんし、こういった社会現象も犯罪抑止という観点からすると見過ごすことはできません。
強要罪ですと、略式命令の対象にはならないので、名誉毀損という比較的軽い犯罪を適用し、ある意味〝見せしめ〟にしたという面もあったかも知れません。
――実名報道となり、女性本人にとってもとんでもない事態になってしまいました。
前田 FacebookやツイッターなどのSNSが身近になり、インターネット上に動画や画像を軽い気持ちで公開してしまったのでしょうが、ひとさまの人生に大きな影響を与えかねないということを認識すべきですね。むしろ、それに気付かないこと自体が大問題です。全ての人の人権保護という観点も大事ですが、被害者の人権や社会防衛もきちんと確認しなければなりません。
悪いことをすれば罰が加えられて当たり前だということも、きちんと認識しなければならないでしょう。自分の都合で「ルールは守らなくとも良い」と勝手に思い込むような自己中心的な人が増えているのも現実ですから。
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