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第16回 論理的思考で問題解決の糸口が見つかる

月刊「財界さっぽろ」2012年08月取材

会社を守る法律講座

――日本は訴訟を好みませんね。

前田 はい。ですが必ずしもマイナスではありません。「和をもって尊しとする」という考え方が背景にあり、むしろ日本の社会を支える基本です。問題は、物事を論理的に詰めることを嫌うこと。紛争やトラブルの場面では、主張するかどうかはともかく、論理的に詰めないと物事の本質が見えず本当の問題点はわかりません。

――昔から「デイベート」といった手法の有用性が説かれますが、根付きませんね。

前田 では、試しに最近の出来事を例に、デイベートもどきをしてみましょう。例えば、片山さつき議員が次長課長の河本準一氏を母親の生活保護問題で追及した事件がありました。

――「親の面倒を見られるだけの収入があるのに、ほったらかしはひどい。でも売れっ子タレントを非難しすぎる片山議員も売名行為では」という意見が多そうです。

前田 確かにそういった意見が多いでしょうが、本人も気づかないねたみなどの本音が隠れている場合もあります。もし端的に「河本氏は高額所得者で、多額の税金を納めている。その母親が生活保護を受給していたとしても税金のおつり程度のものではないか」と反論されたらどうですか。

――何でもお金の問題にするのはよくないのではないでしょうか。

前田 「ですが問題の始まりは、生活保護世帯が急増する中、財政負担の急増が懸念されているからではありませんか」と言われたら。

――確かに。そもそも生活保護を受けるべきではないのに受けている人がいることが問題。しかし、統計的裏付けはありませんし…。

前田 そう、そこからするべきことが見えてきます。きちんと統計的な数字を把握したり、なければ調査する必要があると。

――そうなると「片山議員は、不正受給者を一件一件あたるべきだ」という意見も出ます。

前田 このような意見を詰めていくと、「調査は1人ではできない大変なことで、今の市町村の体制で十分にできるのかを検討する必要がある」という考えに至るかもしれません。

――論理を詰めることは、さまざまな事案で役に立ちそうです。

前田 そうです。紛争やトラブルに直面して当事務所に相談に来られる方とお話をすると、「許せない」「反撃したい」といった感情ばかりにとらわれていることが少なくありません。しかし、それでは本当の解決はできません。時には論理的に、さまざまな専門的手法で客観的に問題解決の糸口を見つけていく必要があります。
(前田法律事務所では、紛争やトラブルなどの法律相談にも対応している。0120・48・1744へ)

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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