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第27回 〈番外編〉〝カルテ無し〟C型肝炎訴訟で和解

月刊「財界さっぽろ」2013年8月取材

会社を守る法律講座

6月、当事務所が代理人を務めたカルテ無しのC型肝炎訴訟で、国と和解が成立したと各メディアが報道しました。C型肝炎訴訟とは、出産や手術で大量出血した際に血液製剤フィブリノゲンなどの投与により、C型肝炎ウイルスに感染した方を救済する裁判です。

感染被害者を早期に一律救済する「被害者救済法」がつくられ、裁判の中で認められた症状に応じ、給付金が支給されます。しかし、フィブリノゲンなどの投与でC型肝炎ウイルスに感染したことを証明しなければなりません。

証明するためには、原則的にカルテなどの医療記録が必要となりますが、そもそも投与されていたのは昭和の時代。現在では病院からもカルテは保存されていないと回答される場合が多いのです。

当事務所でこれまで給付金の支給を受けた事例は4件あり、〝カルテ無し〟の案件だと母子手帳に投与が記載されていた事案と、投与した医師が名乗り出て投与の事実を証言してくれた事案でした。

しかし、今回のケースは被害者の医療記録などが全くない上、名乗り出る医師らもいませんでした。
被害者は、1985年にA病院で分娩中大量出血する事態に至り、フィブリノゲンを投与されてC型肝炎になったと2010年に訴えを起こしました。幸い、担当した産科医師Bの名前を記憶しており、カンボジアで医療に従事していることが調査により判明しました。すぐに手紙を送り、協力していただけることになりましたが、投与は麻酔医の判断であり、B医師自身は投与の有無を確認していないとのことでした。ただ、「投与は間違いないだろう」というのです。

この証言を裁判に持ち込みましたが、国は納得しません。そこで、麻酔医であるC医師を探しだしました。被害者の手術に立ち会ったかどうかの記憶はあいまいでしたが、麻酔専門医の立場で「当時の状況であれば投与したに違いない」という証言は得られました。しかし、国はまだ納得しないのです。

当時、A病院に麻酔医を派遣していたD大学医学部麻酔学科の現在の教授に協力を依頼し、卒業生らで構成される同門会を紹介してもらい、85年当時A病院に赴く可能性のある医師16人に「この被害者の手術に立ち会ってないか」、「立ち会ったと思われる医師を知らないか」、「立ち会ったとしたらフィブリノゲンを投与したか」などの照会書を送りました。

そのうち9人から回答があり、複数の医師から「自分であれば投与した」という回答がありました。これを裁判所に証拠として提出し、国はようやく和解に応じることとなったのです。 カルテも無く、投与した医師も確定できないまま国が和解に応じ、救済されることとなった貴重な事案となりました。ほかの被害者にも活路をみいだしてほしいです。
「被害者救済法」の期限は2018年までです。当事務所では無料相談に応じています。
(0120・48・1744)

C型肝炎被害者救済 弁護士

B型肝炎被害者救済 弁護士

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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