判断在庫とは何か
――弁護士の仕事は「結果」ではなく「判断」に宿る
世の中の法律事務所の多くは、
「解決事例」「勝訴実績」「成功例」を並べます。
しかし、私はそれをしません。
なぜなら、**弁護士の本当の価値は、結果ではなく、その途中にある「判断」**にあると考えているからです。
このページでは、当事務所が公開している
**「判断在庫」**とは何か、
なぜそれを商品として提示しているのかを説明します。
1.法律問題の本質は、判断の連続である
法律問題は、
裁判で勝つか負けるか、
請求が通るか通らないか、
という単純な話ではありません。
実際の現場では、
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争うか、争わないか
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今動くか、待つか
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強く出るか、引くか
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訴訟に行くか、交渉で終わらせるか
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こうした無数の判断が積み重なっています。
しかもその多くは、
「法律的に正しいかどうか」だけでは決められません。
依頼者の
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人生
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事業
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家族関係
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社会的立場
を踏まえたうえでの、総合判断になります。
2.「解決事例」では、判断は見えない
一般的な解決事例は、こう書かれます。
〇〇万円を獲得しました
訴訟で勝訴しました
有利な条件で和解しました
しかし、そこには重要な情報が欠けています。
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なぜ、その道を選んだのか
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他にどんな選択肢があったのか
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どの段階で、何を捨てたのか
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あえて「やらなかった」ことは何か
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弁護士の価値が最も現れる部分が、意図的に省かれているのです。
私はそこに、強い違和感を持ってきました。
3.判断在庫とは「勝ち筋」ではない
当事務所で公開している「判断在庫」とは、
勝った案件の自慢ではありません。
また、
「この方法を取れば必ずうまくいく」
というマニュアルでもありません。
判断在庫とは、
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どんな状況で
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どんな選択肢があり
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なぜその判断を選び
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その判断が何を守り、何を切り捨てたのか
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を、そのまま記録したものです。
つまりこれは、
弁護士が頭の中で行っている思考プロセスの公開です。
4.なぜ「在庫」と呼ぶのか
あえて「事例」でも「実績」でもなく、
在庫という言葉を使っています。
理由は明確です。
法律相談の現場では、
毎回ゼロから考えているように見えて、
実際には、
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過去にどんな判断をしたか
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その判断がどういう結果をもたらしたか
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どこに落とし穴があったか
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という蓄積された判断のストックを使っています。
弁護士の仕事とは、
知識を当てはめることではなく、
判断在庫を取り出し、目の前の状況に照らすことです。
5.勝たない判断も、重要な商品である
判断在庫の中には、
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勝てたが、あえて勝ちに行かなかった案件
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争えば有利だったが、止めた案件
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依頼を受けないと判断した案件
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も含まれています。
これらは、
通常の事務所では決して表に出ません。
しかし私は、
むしろそこにこそ、弁護士の本質があると考えています。
「勝てますよ」と言うのは簡単です。
「その先の人生まで含めて考えましょう」と言う方が、
よほど難しい。
6.このページを読んでほしい方
判断在庫は、
すべての方に向けたものではありません。
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とにかく強く戦ってほしい方
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勝ち負けだけで判断したい方
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早い結論だけを求める方
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には、正直、向いていません。
一方で、
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判断の理由を知りたい方
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選択肢を整理したい方
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人生や事業を壊さない解決を求める方
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には、
相談前にぜひ読んでいただきたい内容です。
7.判断在庫は、相談前の「思考のすり合わせ」
法律相談の場で、
初めて価値観のすり合わせをするのは、
正直、遅すぎます。
判断在庫は、
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当事務所が、何を重視しているのか
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どこでブレーキを踏む弁護士なのか
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どんな相談者と相性がよいのか
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を、事前に可視化するためのページです。
終わりに
弁護士の仕事は、
答えを出すことではありません。
どの問いを選び、どの判断をするか。
そこにすべてがあります。
判断在庫は、
その一端を、あえて公開しているにすぎません。
それでも、
「この弁護士なら話せそうだ」
そう感じていただけたなら、
それがこのページの役割です。






