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第2話 知っているつもりでも知らない相続の真実(後編)

月刊「財界さっぽろ」2019年03月取材

生活に潜むリーガルハザード

死人に口なし。泥沼不倫のなれの果て

前回に引き続き、具体的なケースから〝リーガルハザード〟を検証していきます。

ケース1 夫であるAさんを亡くした妻のBさん。45年前、事業を立ち上げたばかりで貧困状態のAさんを支えて事業は大成功。しかしAさんは突然死。そこに離別したAさんの前妻Cさんの子が2分の1の遺産相続を主張。Bさんは横取りされるのが納得できない。

ケース2 子ども2人をもうけたDさん。晩年に離婚した元夫Eさんは再婚し、2人の子と養子縁組。Dさんは自分の子と新婦の連れ子が同条件の相続に不服。

AさんがCさんと離婚しておらず、Bさんと「内縁関係」だとどうでしょう。Bさんに相続権はないので遺言がなければ、Aさんの遺産を全く取得できません。Aさんが「遺産全てをBさんに」と遺言を残しても、Cさんとの間の子だけでなく、形だけの正妻のCさんも遺留分減殺請求権を行使でき、Bさんには半分しか残りません。Aさんは生前、真剣にCさんとの離婚に取り組むべきでした。

ところで、妻子ある男性が妻との婚姻関係が破綻した後、長期間同棲関係にあった女性に財産を譲る遺言を残した場合、妻子が公序良俗に反するとして遺言の有効性を争う場合があります。

女性との性関係の維持継続を目的とする場合は、遺言が無効とされる可能性がありますが、不倫関係の維持継続なのか女性の生活を保全のための用意であるかの線引き、比重の判断は難しいのが実際でしょう。

また、ケース2は不倫とは全く別物に思えますが、実際の事案は多種多様です。「○○に決まっている」と自分の頭の中に刷り込まれ、それを真実と確信する、あるいは錯覚することはよくあります。

相手への評価は誹謗中傷にもなりかねません。収拾がつかず、裁判になった場合、相反する事実を闘わせる中では自分の確信する事実を第三者である裁判官に認定させるのは必ずしも容易ではありません。

 

人間は自分の物差しで決めつけ、判断する 

思い付くまま前・後編にわたって〝リーガルハザード〟を述べてきましたが、かえって読者のみなさんを混乱させたかもしれませんね。ただ、もしそうなら連載第1弾は大成功です。私がお伝えしたかったことは、われわれ人間は、どうしても自分の見える範囲で自分の物差しを用いて物事を判断してしまいがちですが、そのような判断を基に得たいものを確保することは難しいということでした。

次回以降は、こうした視点で法律問題の具体例と〝キモ〟をお伝えしていきたいと思います。

 

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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