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第14話 新型コロナウイルスと労務管理。今、優先すべき事

月刊「財界さっぽろ」2020年04月取材

生活に潜むリーガルハザード

問われる危機管理体制 パンデミックの怖さ

現在、新型コロナウイルスが世界的に流行し、日本も騒動の只中です。そこで2009年に新型インフルエンザが大流行した際の労務問題について、介護新聞に私が寄稿した原稿を用いながら、お話いたします。

当時、新型インフルエンザが猛威を振るう中、多くの企業に危機管理対策が求められました。特に福祉の現場では、利用者の生命と健康の保持、自立を支えるためのサービスを継続的に提供しなければならない特殊性があります。
パンデミックという緊急性や重大性を踏まえると、施設側としては、想定される法律的見解が確定していない段階であっても、一定の対処を断行しなければならないということも考えられます。

 

法律問題だけではない 取り組むべき課題

福祉の現場では利用者との濃厚接触が日常的であり、クラスターが起こりやすい環境なのは言うまでもありません。従業員が感染し、十分なサービスの提供が困難になることで起こる利用者への弊害と、罹患した従業員の労務管理、大きくこの2つが事業者の課題です。

例えば、感染が疑わしい従業員に休業命令を下せるか否か休業期間中の賃金や手当、補償を支払わなければならないのか。あるいは、職員が感染を恐れて出勤を拒否した場合、出勤命令を出すことはできるのか。命令に従わない職員に対し、懲戒は可能なのか。ざっと思いつくだけでも実にさまざまなケースが想定されます。もちろん、これらは従業員に対する安全配慮義務を尽くさなければならないという前提も含んでいます。

一定レベルの弁護士であれば,民法536条を判断の枠組みとし、新型インフルエンザに罹患した職員に対しては「事前に一定の対策を策定し、適切な健康管理体制を実施していた場合には、休業期間中の賃金や手当、補償を支払わなくてもよい」と答えるでしょう。

ただ、優先すべきは利用者への十分なサービス提供であり、企業としての責務です。常に法律を持ち出し、白黒を付けなければならない状況を回避することが理想でであり、従業員と常識的な協働関係を維持できるかが重要です。

なぜなら、利用者最優先で稼働している現場の従業員のことを考えれば、すべての〝隙〟を埋めることは非現実的だからです。法律と現場とのちょうどいいバランスを取ることが大切でした。

あれから約10年がたちました。働き方改革関連法の実施にかかわらず、法律問題としての軸は今も変わりませんが、労働者の権利意識の高まりと構造的な人手不足を踏まえた現代流の対応が必要です。

当事務所では、コロナウイルスに関する労務相談に初回無料で対応しています。福祉分野以外の企業もご活用ください。

前田尚一法律事務所:フリーダイヤル 0120・48・1744

 

 

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サンプル⇒「働き方改革関連法」中小企業の時間外労働の上限規制導入は?

前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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