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第17話 整理解雇を円滑に進めるためには

月刊「財界さっぽろ」2020年07月取材

生活に潜むリーガルハザード

コロナ禍で見えてきた企業の新たな課題

新型コロナウイルス感染拡大の予断は許されませんが、大筋としては収束に向かいはじめたようです。国民みんなで克服し、新たな未来が到来するといった論調が、各企業の広告や専門家の分析として目立ってきました。

しかし、新たな未来に期待することはともかく、直面する現実への対応は、新しい現実を見据えながら進めていかないと足元をすくわれることになりかねません。

新型コロナウイルス感染拡大が長期化する中、特に中小企業において、取り引きの停止・減少、家賃の延滞交渉・増減額調整といった対外的問題に加え、「労務問題」への対処が問題にされてきました。

コロナ収束までの「労務問題」を〝コロナ収束後〟の展開としてとらえなおした場合、柔軟な働き方として一定の評価を受けている「テレワーク」も、よいとこどりばかりをすると大きな火傷をしかねない魔物なのかもしれません。

また、容易に景気の回復を期待できず、長期間の不況が続くであろう現況において「万が一のため、整理解雇をはじめとした労働契約の終了に関しても検討しておくべきなのか?」という経営者側の意識の変化もあらわれはじめており、深刻な課題は現在進行形で山積しています。

 

〝人余り〟は簡単に 解消できない

特に「解雇」は客観的、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効(労働契約法16条)とされています。たとえ経営上の理由から余剰人員削減のためになされる「整理解雇」であった場合でも、裁判例においては、次の4つの事項を考慮しながら解雇の有効性を判断していくことになります。

①人員整理をおこなう必要性
②できる限り解雇を回避するための措置が尽くされているか
③解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であるか
④労働組合との協議や労働者への説明がおこなわれているか

です。

「まさに当社が直面する事態だ!」と思われる事業主も少なくないでしょうが、この4つの事項に該当するかどうかは、一般の事業主の考えを超えたとても厳しい基準となっており、それだけに事業主の経営的常識とは異質で、専門的な判断に基づいた慎重な対応が必要となります。

当然、採用内定者の内定取消しや雇い止めについても厳格な法規制があります。解雇と同様に慎重な対応が必要です。

「労務問題」には、お手軽な〝王道〟はありません。ただし、慎重な判断をしていく上でのプロセスと、組み合わせる手段の〝定番〟はあります。人員整理や内定取り消しを考えている経営者は、ぜひご相談ください。

前田尚一法律事務所:フリーダイヤル 0120・48・1744

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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