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弁護士の解決事例は本当に意味があるのか

弁護士の仕事は、「結果」ではなく「判断」に宿る

弁護士の「解決事例」は、
本当にあなたの判断の役に立つでしょうか。
勝った事例ほど、見落とされている前提があります。

法律相談や経営判断の現場では、
「速く決めること」が価値だと語られがちです。

もしあなたが今、

・とにかく早くこの状況から抜けたい
・誰かに「大丈夫ですよ」と言ってほしい
・考えるのがしんどくなって、判断を先送りしている

そんな状態にあるなら、
すでに一つの判断基準を使い始めているかもしれません。

人は追い込まれると、
「今が楽になるかどうか」で判断してしまいがちです。

しかしこの基準は、
短期的には楽になりますが、
長期的には必ず判断を歪めます。

しかも一度採用すると、
その後の判断全体に影響を及ぼします。

私は、この基準だけは
二度と使わないと決めています。

私たちは、あえて問い直します。

その判断は、半年後、一年後も正解と言えるでしょうか。

弁護士の価値は、結果ではなく「判断の積み重ね」にある

法律事務所の多くは、
「解決事例」や「勝訴実績」といった結果を前面に打ち出します。

当事務所でも一定の実績を公開しています。
しかし、私が本当に伝えたい価値は、
結果ではなく、そこに至るまでの判断の積み重ねです。

なぜなら、
弁護士の仕事の本質は「結論を出すこと」自体ではなく、
どの判断を選び、どの判断を排除するかを決め続けることにある、
と考えているからです。

*本ページでは、
「判断在庫」という用語を用いて説明していました。
経験から抽出された判断が蓄積され、繰り返し安定して使える状態になっていること、
それを判断在庫と呼んでいました。
現在は「これまでの判断基準」として運用しています。

なお、次の事項については別ページで整理しています。

法的に正しい判断が、なぜ後から問題になるのか
この判断基準をどのように運用しているか(判断生成モデル)

1.法律問題を解決する肝は「判断の連続」である

法律問題は、
勝つか負けるか、
請求が通るか通らないか、
といった単純な話ではありません。

実務の現場では、

      • 争うか、争わないか

      • 今動くか、待つか

      • 強く出るか、引くか

      • 訴訟に行くか、交渉で終えるか

こうした判断が、常に重なっています。

しかもその多くは、
「法律的に正しいかどうか」だけでは決められません。

依頼者の
人生・事業・家族関係・社会的立場
を踏まえた、総合判断になります。

2.「解決事例」では、判断の中身が見えない

一般的な解決事例は、
次のようにまとめられます。

      • 〇〇万円を獲得しました

      • 訴訟で勝訴しました

      • 有利な条件で和解しました

しかし、そこには決定的に欠けている情報があります。

      • なぜ、その選択をしたのか

      • 他にどんな道があったのか

      • どこで何を切り捨てたのか

      • あえて「やらなかった」判断は何か

弁護士の価値が最も表れる部分は、
結果の裏側にあります。

たとえば「今すぐ行動すべきか、それとも待つべきか」という場面があります。
経験が少ない場合はその都度考え、判断が揺れます。

しかし多くの案件を検討してきた弁護士は、
似た状況を即座に照合し、
いつも同じ基準で安定した判断を行うことができます(繰り返し再現できる判断の蓄積)。

たとえば登山の場合に似ています。
初めて山に入る人は、その都度立ち止まり、地図を見て、進むか戻るかを迷います。

しかし何度も同じ山を歩いている人は違います。
分岐を見た瞬間に、どちらへ進めば安全で確実かが分かります。

過去に歩いた道と判断が整理され、すぐ取り出せる状態になっているからです。

このように、経験から抽出された判断が蓄積され、
繰り返し安定して使える状態になっていることについて、
具体例を用いて分かりやすく説明したページがあります。

これまでの判断基準を分かりやすく説明します

しかし、この判断の過程そのものが外から見えることはほとんどありません。

こうした判断の評価は、
単純な「数字・結果」で語られがちです。

しかし、私は、
判断の裏側や、
なぜその選択をしたのか、
そして何を切り捨てたのかといった点が、
ほとんど語られないことに、
強い違和感を持ってきました。

3.判断の蓄積は、単なる「勝ち筋」ではない

つい、すがりたくなるときの判断基準があります

それは、
短期的には楽になり、
長期的には必ず判断を歪める基準です。

一度採用すると、
後の判断全体を汚染するため、
私はこれを
「二度と使わない基準」として明確に排除しています。

一貫した判断方針は、
こうした基準を排除したうえで行ってきた
判断の蓄積でもあります。

ここでいう「蓄積」とは、出来事の記録そのものではなく、
そこから抽出された選択基準の固定を意味します。

当事務所における判断の蓄積は、
勝った案件の自慢話ではありません。

また、
「この方法を取れば必ずうまくいく」
というマニュアル公開でもありません。

在庫とは、

どんな状況で
どんな選択肢があり
なぜその判断を選び
その判断が何を守り、何を切り捨てたのか

という意思決定の構造を通じて抽出された、
再利用可能な判断基準の蓄積です。

4.なぜ「在庫」と呼ぶのか

あえて「事例」や「実績」ではなく、
「在庫」という言葉を使っています。

理由は単純です。

実務では、一見、事案のパターンどおり考えているようでも、
実際には、

      • 過去にどんな判断構造を採用したか
      • その基準がどんな帰結を生んだか
      • どの選択が後に歪みを生んだか

といった判断基準の蓄積を参照しています。

弁護士の仕事とは、
知識を当てはめることではなく、
判断基準を適切に取り出し、
目の前の状況に照らすことだからです。

5.「勝たない判断」も重要な判断である

これまでの経験の中には、
能力として実行可能であったにもかかわらず、あえて行使しなかった判断も含まれます。

      1. 勝てたけれど、あえて勝ちをとらなかった案件(勝利可能でも目的不適合)
      2. 争えば有利でも、争うことを止めた案件(有利条件でも紛争回避を選択)
      3. 依頼を受けるべきではないと判断した案件(入口段階での選別)
      4. 当初は進めたが、途中で方針を変更して止めた案件(進行途中での停止判断)

いずれも、能力の行使が可能であったにもかかわらず、行使しないことを選択した判断である。

公開される多くの解決事例において、
こうした事案は表に出ません。

しかし私は、
そこにこそ弁護士の本質があると考えています。

このような判断が、どのような経験や出来事の積み重ねから生まれているのか。
その背景について、別の形で記しています。

判断の背景にある経験

こうした「判断が噛み合わない場面」は、
実際の相談の現場では、
もっと具体的な形で現れます。

判断がすれ違う瞬間(具体例)

また、判断しなかったことが、
後から大きな意味を持つ場面については、
別の視点から整理しています。

6.速くしない判断という考え方

当事務所は、
すべての判断を速く行うことを是と考えてはいません。

それは、
判断を先送りするためではなく、
後に崩れない判断をするためです。

特に次のような場面では、即断しません。

      • 判断が後から必ず覆ると見込まれるとき

      • 家族関係や事業に不可逆的な影響が出るとき

      • 法的には勝てても、紛争が終わらないと予測されるとき

      • 相手が意図的に判断を急がせているとき

当事務所における「速さ」とは、
誤った判断を長く引きずらないことを意味します。

7.このページを読んでほしい方

当事務所で蓄積されたこれまでの判断基準は、
すべての方に向けたものではありません。

      • とにかく強く戦ってほしい方

      • 勝ち負けだけで判断したい方

      • 早い結論だけを求める方

には、正直、向いていません。

一方で、

      • 判断の理由を知りたい方

      • 選択肢を整理したい方

      • 人生や事業を壊さない解決を求める方

には、
相談前に読んでいただきたいページです。

ちなみに、経営の現場では、
法律論だけでは割り切れない「人」の問題が、
判断を最も難しくします。
その典型的な場面については、
次のページで具体的に整理しています。

企業経営における人の問題と判断のポイント

終わりに

弁護士の仕事は、
答えを出すことではありません。

どの問いを選び、
どの判断をするか。

もっとも、判断の蓄積とはいっても、
その一端をあえて公開しているにすぎません。

それでも、
「この弁護士なら話せそうだ」
そう感じていただけたなら、
それ以上の説明は必要ないのだと思います。

これまでの判断の背景にある、
私自身の立ち位置や考え方については、次にまとめています。

前田尚一法律事務所の考え方(concept)

この考え方が、
あなた自身の判断にどう影響するかは、
ご自身で決めてください。

前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として30年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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