裁判で不利になる経営者の判断
――少数株主紛争・経営権争いの現場から
会社内部の紛争は、突然始まるようで、
実際には長い時間をかけて形づくられています。
少数株主との対立、
共同経営者との亀裂、
役員間の権限争い。
こうした問題が裁判に発展する場合、
争点は法律論以上に、
それまでの経営判断の積み重ねにあります。
「自分が正しい」は、裁判では通用しない
少数株主との紛争で多いのが、
「経営は自分が担ってきた」
「相手は何もしていない」
という主張です。
経営感覚としては自然ですが、
裁判では、それだけでは足りません。
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株主としての権利がどう整理されているか
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排除・制限に合理性があるか
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そのプロセスは透明だったか
こうした点が、冷静に評価されます。
正しさの主張と、評価の構造は別物です。
行動しなかったことが、不利な事実になる
経営権争いでは、
「刺激しないよう、何もしなかった」
という判断が、後に不利に働くことがあります。
例えば、
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合意を文書にしなかった
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不満を知りながら放置した
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問題が顕在化する前に整理しなかった
これらはすべて、
裁判では「経営判断の不作為」として整理されます。
結果として、
主導権は相手に移り、
選択肢は狭まります。
「待つ戦略」と「放置」は違う
社内紛争では、
「今は耐えるべきだ」
という判断が語られがちです。
しかし、
原因分析と準備を欠いた「待ち」は、
戦略ではなく放置です。
本当に必要なのは、
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どこが対立の核心か
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何を証拠として残すか
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どの時点で打つ手があるか
これらを整理した上で、
動かない判断を選ぶことです。
裁判は、最後の工程にすぎない
裁判は、突然始まる特別なイベントではありません。
それまでの意思決定が、
一つの形として現れる最終工程にすぎません。
だからこそ、
「裁判になったら弁護士に相談する」では遅く、
「裁判になる前の判断」をどう設計するかが重要になります。
最後に
少数株主紛争や経営権争いは、
感情と論理が最も衝突しやすい領域です。
しかし、
裁判が評価するのは感情ではなく、
判断の構造と過程です。
その整理ができているかどうかで、
結果は大きく変わります。






