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第63回 弁護士選びは〝何をしてくれる〟かに着目せよ

月刊「財界さっぽろ」2017年12月取材

会社を守る法律講座

――札幌の映画館で、前田先生の事務所のCMが流れていますね。ところで、弁護士広告というと「弁護士法人アディーレ法律事務所」らに対する懲戒処分で、世間は大騒ぎですね。

前田 法人には業務停止2月という厳しい処分です。多数の依頼者が混乱しているようです。広告個別の論評はまた別の機会にするとして、そもそも弁護士業界では弁護士が積極的に広告するのはいかがなものかという風潮もあります。良い仕事をすれば当然、依頼者は集まってくるはずだと表明する弁護士も少なくありません。

――弁護士の力量は世間にはわかりにくいのでは。

前田 そう、実際に他の弁護士より良い仕事をしているかということと、弁護士を必要としている人にそのことが知られているかは別ですからね。弁護士の側で「良い仕事をしているのにお客が来ないのは社会が悪い」などとは責任転嫁のボヤキにもなりかねません。

その一方では、アディーレ問題が公表されるや「アディーレ」と検索すると「PPC広告」が出るようにした事務所もあります。また、従来から認知されている事務所を一本釣りにする戦略を執る事務所もあります。例えば「まえだしょういち」と検索すると「弁護士」や「法律事務所」といったキーワードを用いずとも、違う法律事務所の広告が出ます。

――どこに依頼すればよいのかわかりにくいですね。

前田 一番の問題は、弁護士が何をしてくれるのかがよくわからない、ということでしょう。従来、弁護士を頼みにくい理由は敷居が高いなどということが挙げられていましたが、今はスマホを使うなどして必要で便利なものはどんどん活用する時代。必要な情報の提供がポイントになりますね。

――映画館CMでは企業法務・顧問弁護士というテーマで企業向けのサービスをPRしていますね。

前田 はい。大量生産、大量消費の時代は終わり、物事は表面だけではなく、地殻変動を起こしています。企業は売上至上主義では生き残っていけない時代です。特に中小企業は自社の独自性を基に必要なものを見極め、ピンポイントで活動していかなければ存続は難しいでしょう。

弁護士も企業に対し、型どおりのサービスを提供しても存在意義はなく、個々の企業と手と手を取り合う濃い関係を構築しながら、各企業独自固有の志向に合わせて個別具体的なサービスを提供していく必要があります。

今回の映画館広告はこういった点を訴求していく試みです。やはり労務管理・労使問題(残業代、解雇、パワハラ・セクハラ)、売掛金回収、契約書作成管理など身近に直面する場面の対策が重要となります。これらについては、また次号以降に。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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