令和4年(2022年)は、数日お休みいただいて、心臓の一部を切り取る手術をしてもらいました。
6月9日(金)に入院し、13日(月)に退院いたし、6月14日(火)、仕事に復帰いたしました。
【追伸1】ずっとその後の近況ですが、そろそろ半年を超えますか、
酒一切を飲まない生活が続いております(令和5年2月)。
全く「苦」でないのが不思議です。
【追伸2】この手術は、心房細動自体をなくするものではなく、
心臓外科医によって、心房細動があっても、脳梗塞の原因となる血栓を作れなくしてもらったものです。
心房細動自体については、手術していただいた心臓外科医の担当ではなく、
こちらとは別の病院の内科医に、心房細動の原因を見付けていただき、
命拾いをしました。
この心臓の一部を切り取る手術は、左脇下に7つ穴を空けてします。
「ウルフ-オオツカ(WOLF-OHTSUKA)法」という「低侵襲」(患者の負担が少ない。)の方法で、心臓にある「左心耳」という部位を切除する手術をしてもらってまいりました(“ウルフ”というと、職業柄、「ウルフ・パック」と低侵襲と逆のイメージを抱いてしまいます。)。
脳梗塞のリスクを下げ、抗凝固薬をやめることができるようにするためです。
私は、令和2年に、「心房細動」(「不整脈」の一種)との診断を受けておりました。
心房細動の最大の問題は、前触れもなく突然、「致死性脳梗塞(血栓性脳梗塞・心原性脳梗塞)」を起こすことにあります。
長嶋茂雄元巨人軍監督や故小渕恵三元首相の脳梗塞が、このタイプだったとのことです。
心房細動によって心臓にある左心耳という部位で、血栓(血のかたまり)が作られる。それが、流れて脳の血管を詰まらせて、致死性脳梗塞を起こす。
そこで、心房細動では脳梗塞予防のために血液をサラサラにする抗凝固薬を飲む方法が一般的な治療ですが、ケースによって、心臓で血栓自
体ができないように手っ取り早く血栓製造所である左心耳を閉鎖する方法が選択されるようです。
これを、従来の治療アプローチのように、胸を切り開いたり(開胸)、人工心肺も使うことない、完全内視鏡下外科手術(足の付根の血管からカテーテルを入れる「内科的カテーテル法」とは違います。)により、瞬時に左心耳そのものを心臓の外側から切り取って、医療用ホチキスで縫合し、短い手術時間で
全体を終える、そんな患者の負担が少なくなく、身体の回復も早く、早期社会復帰できる方法が、「ウルフオオツカ法」という低侵襲心房細動手術です(本年4月から保険診療が可)。
6月9日(木)、札幌心臓血管クリニックの心臓血管外科に入院し、翌10日(金)、ロボット心臓手術・低侵襲心臓手術(MICS手術)がご専門の橋本誠医師と、ウルフ-オオツカ法を考案された大塚俊哉医師[ニューハートワタナベ国際病院 (東京都杉並区)]のお二人で手術していただきました。
写真は、私の心臓から切り取られた「左心耳」と、心臓をいじるなどする機器を体内に入れるために左脇に開けた六つの穴にしたホチキス止めをはずす前の傷跡です。
なお、「ウルフ-オオツカ法」では、本体である血栓発生元の左心耳を切除することに加え、不整脈治療のアブレーションを外科的に行うのが通例なのなそうです、開胸せずに左脇下に開けたキーホール(鍵穴)から器機を入れて行う方法であり、ある意味自由度が限定されるため、私の場合、疾患ではなく解剖学的に、つまり、もともとの私の心臓の形態・位置などの関係で、後者は見送られました。
しかし、それでも、脳梗塞の原因となる血栓製造所そのものをとってしまいましたので、脳梗塞のリスクは激減の目的が達成されたことは、後記のとおりです。
さて、心房細動は、不整脈が持続するとは限らず、また、自覚症状のないまま起きている場合もあるので(半数近い人は自覚症状がないそうです。)、心電図検査をしてもひっかかるとは限りません。
そのため、実は心房細動が繰り返していることに気が付かれないまま、放置されている場合があります。
私の場合、心房細動がたまたま見つかり、幸運であったというほかありません。
この「たまたま」がなければ、まだまだ、心房細動であることにさえ気付かなかったかも知れません[心房細動がたまたま見つかった経緯はこちら『不測の〝お告げ〟には即対策・即行動を!』を]。
ちなみに、心房細動が見つかる患者の過半数は、「睡眠時無呼吸症候群」だそうで、私もそうでした。
心房細動が見つかった後も、苦しくなるとか、痛いとか、めまいといったような自覚症状はないので、処方された薬(エリキュース[抗凝固薬]、サンリズム[不整脈治療剤(Naチャネル遮断薬)])を淡々と飲んでおりました。
ところが、たまたま、昨年、バージョンアップしたのを機に「アップルウォッチ」(Apple Wwatch Series 7)を購入し、10月中過ぎから装着していたところ、年末年始早々には、しばしば心房細動が起きているということがわかりました(心電図 App(アプリ) を使って心電図 (ECG) をとることができることに加え、高心拍数/低心拍数や不規則な心拍リズムが検知されたときに知らせてくれるほか、心電図が保存されて医師に見せることができるなど便利な機能が多く備えています。最近では、積極的に活用されている医師も少しずつですが増えているようです。
そして、しばしば心房細動が起きていることがわかると、苦しくなるどといった日常生活を妨げる症状ではないものの、その度の一定の違和感を感じるということに気付き、おや来たなと分かるようになりました。
こうした成り行きで、二度の「たまたま」が重なり、心房細動がもとで起きる脳梗塞のリスクをゼロに近い状態(心原性脳梗塞の回避率は99%)にしてもらい、抗凝固薬からも解放されることとなりました。
1週間足らずで退院できたものの、やはりその間は寝てばかりで、それなりに体力は落ちています。
鈍った体力を元に戻したながら、これまでの生活習慣シンドローム体型から離脱すべく、全身を鍛えていきたいと思います(今回は、「三日坊主」(20年近く前にした大宣言)とならないよう頑張ります。)。
その後の経緯…………
「“命拾い:心筋梗塞・ 心不全・心房細動、緑内障”と専門家の役割のキモ」
*「ウルフ-オオツカ(WOLF-OHTSUKA)法」については、次をどうぞ。
〇橋本誠医師[札幌心臓血管クリニック(退職 ・)]の解説
『完全内視鏡下心房細動手術 ウルフ-オオツカ法 (左心耳切除/肺静脈隔離術)』
〇大塚俊哉医師[ニューハートワタナベ国際病院]の解説
『ウルフーオオツカ法:最高品質の左心耳閉鎖と外科アブレーション術で心房細動と戦う低侵襲内視鏡心臓外科手術』
“茶飲み”話コーナーは、こちら。ご連絡お待ちしております。
ちなみに、私の病歴
「司法試験最終試験の直前、突然の“網膜剥離”」:一度目の手術
「節目」:睡眠時無呼吸症候群
「ホテルロケ敢行、“睡眠時無呼吸症候群”の患者役でTV出演」
「“白内障”のこの不便さ!!」
「あやうく失明」:二度目の“網膜剥離”の手術
「不測の〝お告げ〟には即対策・即行動を!」:“心房細動”
「心房細動による脳梗塞予防の心臓・左心耳切除手術の体験記」
「“命拾い:心筋梗塞・ 心不全・心房細動、緑内障”と専門家の役割のキモ」