困ったものです。
まず、ジェームル・C・コリンズは、こう述べる。
「 読者は針鼠だろうか、それとも狐だろうか。
アイザック・バーリンは有名な随筆「針鼠と狐」で、世間には針鼠型の人と狐型の人がいると指摘した。これは古代ギリシャの寓話「狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたったひとつ、肝心要の点を知っている」に基づいたものだ。……
針鼠と狐の話が、偉大な企業への飛躍とどのような点で関係があるのだろう。答えはこうだ。すべての点で関係がある。
偉大な企業への飛躍を導いた契約者は、程度の違いはあっても、全員が針鼠型である。針鼠型の考え型によって、「針鼠の概念」とわれわれが呼ぶようになったものを、それぞれの会社に合わせて確立している。比較対象企業を率いた経営者は狐型が多く、針鼠の概念にみられる単純明快さの利点を獲得できず、力が分散し、焦点がぼけ、方針に一貫性がなくなっている。
ウェルグリーンズとエッカードについて考えてみよう。
……」
(「第5章 単純明快な戦略-針鼠の概念」(『ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則』144頁以下[2001 日経BP社])
次に、橘玲氏は、次のとおり述べる。
「 古代ギリシア人は、「キツネがたくさんのことを知っているのに対し、ハリネズミはたったひとつ重要なことを知っている」と述べた。ここからテトロックは、キツネ的な考え方(予測が上手)と、ハリネズミ的な考え方(予測が下手)を説明している。
……
超予想者は、「永遠のベータ版」で、「試す、失敗する、分析する、修正する、また試す」という思考サイクルが大好きなのだ。
自信たっぷりに断定するハリネズミは短期的に大きな評判を獲得し、メディアにもよく登場する。それに対してキツネは地味で、ニュース番組のコメンテーターになったり、本を何十万部も売るようなことはないかもしれないが、未来を正しく予測することで長期的には大きな利益を獲得するのだ。」
(「4 成功に至る意思決定」『シンプルで合理的な人生設計』120頁以下[2023年 ダイヤモンド社])
困ったものです。そもそも論者が違えば、見解が違うのは、当然よくあることですし、場面・局面が違うといえば、それはそのとおりなのですが……。
でも、困るのです。