札幌市中央区南1条西11-1コンチネンタルビル9階
地下鉄東西線「西11丁目駅」2番出口徒歩45秒

生成AI時代に、弁護士に何を求めるべきか ―「調べてくれる人」から「判断を共にする専門家」へ

弁護士は、何をしてくれる存在なのか
―― 生成AI時代に求められる「判断」と責任 ――

生成AIの普及により、法律情報は誰でも簡単に手に入る時代になりました。
では、そうした時代において、弁護士の役割は不要になったのでしょうか。

答えは明確に「違います」。
むしろ、情報が溢れる時代だからこそ、何を信じ、どう判断するかを整理する専門家としての弁護士の価値は高まっています。

本記事では、生成AIでは代替できない弁護士の役割と、依頼者が弁護士に求めるべき本質的なポイントを解説します。

初回公開日:2026年1月23日
最終更新日:2026年1月25日

生成AIの進化によって、「社会は一変する」「専門職は不要になる」といった言説が、日常的に語られるようになった。法律分野も例外ではなく、「弁護士の仕事はどこまでAIに代替されるのか」という問いを目にする機会は増えている。

だが、より本質的な問いは、別のところにあるように思われる。
それは、「弁護士をどう選ぶか」ではなく、「弁護士に何を求めるべきか」という問いである。

生成AIは、人間のように状況を理解し、熟考の末に結論を出しているわけではない。過去の膨大な言語データをもとに、文脈上「次にもっとも自然に続く言葉」を選び、積み重ねているにすぎない。文章が滑らかで説得力を帯びて見えるため、私たちはそこに判断や洞察を読み込みがちになるが、それはAIが考えているからではなく、人間が意味を与えているからである。

この性質は、情報整理や選択肢の提示といった場面では、大きな力を発揮する。一方で、未来予測や意思決定の領域では、注意が必要になる。技術が一定の水準に達すれば、社会が一気に変わる――そうした物語は分かりやすく、希望を抱かせる。しかし現実の社会は、そこまで単純ではない。

新しい技術は、必ず摩擦を生む。事故が起き、責任の所在が問われ、紛争が生じる。制度やルールが追いつかず、立ち止まる局面も現れる。そこで問題になるのは、「できるかどうか」ではなく、「誰が責任を負うのか」「その判断を誰が引き受けるのか」である。

法の世界では、この点が特に顕著だ。自動運転、医療AI、生成コンテンツの著作権、フェイク情報――技術的には前進していても、社会実装は段階的で、限定的であり、ときに後退すらする。その「遅さ」は非効率に見えるかもしれないが、同時に、人間社会が判断を引き受けてきた証でもある。

弁護士の役割も、ここにある。
法的な選択肢を示すこと自体は、将来、AIがかなりの部分を担うかもしれない。しかし、不確実な状況の中で、どのリスクを引き受け、どこで線を引き、どの判断を採用するのか。その結果について説明責任を負い、紛争の当事者として向き合うことは、データや言葉の連なりでは代替できない。

だからこそ、生成AIが普及する時代において、弁護士に求められるのは「正解を出すこと」ではない。むしろ、複数の不完全な選択肢の中から、どの判断を引き受けるのかを、依頼者とともに考え、責任の所在を明確にすることである。

技術の進歩を否定する必要はない。生成AIは、社会を便利にし、多くの負担を軽減するだろう。しかし、技術が示すのは、あくまで整理された言葉や可能性の一覧であって、社会の選択そのものではない。

技術は進む。
だが、社会を動かすのは、いまも人間である。

そして、弁護士とは、その「人間の判断」が問われる場面に立ち会い続ける存在である。

 

👉 なぜこうなるのか
を、こちらで、構造から整理しています。

前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として30年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

dbt[_C24 \݃tH[