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第12回 事業継続の判断基準とは…

月刊「財界さっぽろ」2012年04月取材

会社を守る法律講座

――ある地方都市の経営者から「赤字続きで、信用金庫からの借入金ばかりが増える」という悩みを聞きました。うまく経営を続ける方法はありますか。

前田 まず倒産となった場合の説明をしましょう。倒産手続きには「法的整理」(裁判所の関与と監督の下におこなわれる手続き)と、「任意整理」(裁判所に頼らず債権者との間でおこなわれる手続き)があります。法的整理はさらに破産、特別清算、会社更生、会社整理、民事再生に分けられます。

――倒産や廃業を選択せず事業を続けるには、どの手続きを取ればいいのですか。

前田 倒産手続きは再建型と清算型に分けられます。法的整理のうち再建型に当たるのは、会社更生、会社整理、民事再生です。任意整理は自主的に進める場合にとれる方法ですから、やり方次第で再建型、清算型のいずれの場合もあります。

――事業継続するには、再建型の手続きを選べばいいのですね。

前田 そう簡単ではありません。企業を再建し事業を継続できるかは、客観的な事実で決まるからです。具体的には売り上げの中から仕入れ、広告宣伝費、賃料、人件費などの経費を引いた上で、借り入れの返済ができ、経営者家族の生活費も賄える状態でなければいけません。せめて営業利益が出る状況でなければ再建は難しい。粗利さえも出ないということであれば、再建はほとんど無理というのが通常です。地方の経営者の場合、近所との付き合いとか、先祖に顔向けできないといった理由から、事業継続を希望する人が多いです。親兄弟や地元を離れている息子にまで、連帯保証を頼んで借り入れを続けるという方法もあります。しかし経営自体が赤字であれば、先延ばしするだけで結局破綻します。息子が給料を差し押さえられ勤務先に居づらくなったということになれば、一生を台無しにしてしまうという事態にもなりかねません。

――経営者が希望するだけでは事業の継続は難しいということですね。

前田 「村八分」という言葉がありますね。逆を言えばかつての共同体ではルールにさえ従えば、事業も維持していくことができ、反逆者に対しても火事と葬式は面倒を見るということもありました。今や地域共同体は解体しています。地方で暮らす以上、事業をやめるわけにはいかないということが、幻想になりつつあるのです。先祖伝来の事業であっても現実を直視し、これからの在り方を客観的に判断してくれる専門家に直ちに相談する必要があります。当事務所でも、このような相談に応じております。まずはご連絡ください。

 

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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