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第20回 意外と知らない民事再生

月刊「財界さっぽろ」2012年12月取材

会社を守る法律講座

――最近、O157による集団食中毒を発生させ、8人の死者を出すという事件を引き起こした岩井食品が、民事再生手続開始の申し立てをしました。

前田 岩井食品が民事再生手続開始の申し立てをしたのは、被害者に対する損害賠償債務を支払えるよう延命し、他の債務に優先させるためと説明されているようです。私もこの件について、被害者側で事件を担当することになりそうです。手続き状況を直視しながらも、説明にとらわれず、総合的観点から戦略的に事を進めていこうと考えています。

――そもそも民事再生とはどんな手続きなのですか。

前田 経営陣が退陣しないで企業を再建する法的手続きと位置付けられています。かつては和議と呼ばれる手続きが利用されていましたが、その場しのぎの安易な申立てがあり、和議条件(再建案)認可後は裁判所の監督もなく、現実に不履行になった例が多かったのです。ワギではなくサギだと揶揄されることもありました。
そのため、このような問題点を解消するため、2000年から民事再生法が施行されました。旧経営陣主導で、企業の再建が容易にできるように民事再生手続が創設されたのです。

――具体的にはどのような内容なのですか。

前田 再建を容易にするため、再生計画案(再建案)を提示しないまま申し立てができる、というのが特徴です。しかも「破綻した状態まで至らず、なお余裕のある状況」でも申し立てることができます。再建案を決議するためには、出席した債権者の頭数の2分の1以上が必要ですが、総債権額との関係でも、その2分の1以上の同意で可決できます。また、担保権の実行を制限をする方策も設けられました。これは、例えば、担保権が実行された場合、再建するために必要な工場などで業務ができなくならないようにするためです。

――債務者が極めて利用しやすい制度ですね。

前田 全体的に見ると、確かに金融機関等が主導権を持ちにくくなっています。しかし、そのままでは経営が立ち行かなくなった場合の手続きですから、自ずと制約もあります。倒産ということになれば、もちろん売り上げも激減するでしょう。さらに、旧経営陣のままでは資金が枯渇化しているのが通例ですので、多くの場合スポンサーに頼るほかない。ただ、そうなると、、企業に資金を投入する独自の価値(ブランド)がなければ、スポンサーは見つかりません。そう簡単ではないのです。
当事務所では、民事再生などについても、さまざまなご相談に応じています。気軽にお電話下さい(0120・48・1744)

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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