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第9回 嫌なら遺言は作らない方がよい!

月刊「財界さっぽろ」2012年01月取材

会社を守る法律講座

――最近、新聞などで相続関係のセミナーの開催広告が目立ちます。

前田 相続について関心が高まっています。後に述べる遺言公正証書の作成件数で見ると、2006年は7万件を超えました。25年前の約2倍です。その後も増加し続け、09年には8万件以上です。しかしセミナーの中には、生命保険の販売を目的としたものもあります。生命保険の代理店をしている税理士事務所もあるほどです。
相続税対策として生命保険の効用は軽視できませんが、自分にとって何が必要なのかを総合的、具体的に考えなければなりません。

――経営者、資産家は相続争いとならないよう、きちんと遺言を残すことが重要ですね。

前田 そうは思いません。生前に「死」を考えること自体が不安で心痛なことです。気分が悪くなることを敢えてする必要性など全くありません。死に対する嫌悪を克服し、本当に遺言を残す必要があると決意した人だけが作ればよいと思います。

――決意が固まれば、後は法律に定められたルールに従って遺言を作ればよいのですね。

前田 実は、そのルール自体が難しいのです。遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がありますが(ほかに、船舶遭難者遺言など特別方式と呼ばれる3種類の遺言もあります)、署名・押印などで、それぞれ厳格な要件が定められています。例えば、自筆証書遺言の場合、日付けを「○年○月吉日」と記したために無効となった事例があります。私は、遺言を残すと決意した以上、万全を期して公正証書遺言を作成するべきであると考えています。公正証書遺言は公的立場にある公証人が作成し、公証役場で保管されるので安全で確実です。方式の不備で無効になったり、改ざんされたり、紛失するおそれがありません。

――注意すべき点はありますか。

前田 公証人は本来、依頼者が決めた内容を遺言として作り上げるのが仕事です。財産が多岐に渡り、誰にどのように分けるか難しいなど複雑な法律問題が絡むような場合は、信頼できる専門家と時間をかけて遺言の中身を検討しておく必要があります。また、高齢者の場合、公正証書遺言であっても、無効とされた事例もあるので注意が必要です。
当事務所は,死後に憂いを残さないよう、自ら遺言を残すと決意した人を全面的に応援しています。手に負えないと感じたときは,気軽にご相談ください。
また、当事務所で管理する「相続」のHPを創設しました。ぜひご覧下さい。
http://sozoku-center.jp/ 相続・遺言相談解決センター(札幌)>

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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