当事務所で担当し解決した事件が,朝日新聞その他の日刊紙で報道されました。
朝日新聞平成25年6月19日朝刊
北海道新聞平成25年6月19日朝刊
==記事内容(朝日新聞 朝刊 平成25年6月19日)==
カルテなし→海外の医師探し当て証言集め→和解成立
札幌・C型肝炎訴訟
28年前、札幌市の病院での手術で血液製剤フィブリノゲンを投与され慢性C型肝炎になったとして、
同市の女性(57)が国に損害賠償を求めていた訴訟が18日、札幌地裁で和解した。
国が助成に2千万円を支払う内容で、カルテなどの証拠が乏しい中、海外にいた当時の主治医の協力が決めてになった。
フィブリノゲンを使ったことによるC型肝炎訴訟で賠償が認められるには、2008年1月に血液製剤によるC型肝炎の
救済法が施行された後も、同血液製剤を使ったことをカルテの記載や、直接かかわった麻酔石の証言などで立証する事が必要とされる。
原告代理人の苗田尚一弁護士によると、血液製剤の投与に直接かかわった当時の麻酔医師が誰なのか分からず、カルテも見つからなかった。
このため原告側はインターネットで手がかりを探し、当時の主治医の女性がカンボジアの病院にいることを確認。
この医師らの協力で、フィブリノゲン投与に関係した可能性のある麻酔医13人を探し出した。
麻酔医らに手紙を出すなどしたが、担当したのは誰だったのか、最後まで分からなかった。だが何人かから「可能性はある。その手術に立ち会ったとしたら、フィブリノゲンを使った」などとする証言が寄せられ、裁判所から認められたという。10年6月の提訴から3年が経っていた。
前田弁護士は「細かい状況証拠だけで認められた珍しいケースだと思う。C型肝炎患者はカルテがない人が多いが、提訴をあきらめないでほしい」と語った。
厚生労働省によると、C型肝炎患者の和解数は、救済法施工後は今年5月末までに1827人。うち439人はカルテがなく、医師らの証言などで和解した。医薬品副作用被害者対策室の担当者は「状況証言で和解する患者は徐々に増えている。こちらも協力して解決したい」と語った。
(五十嵐徹)
この事件で一緒に闘った「お客さまの声」
57歳・女性・販売
依頼のきっかけは、「『法律』は、弱い立場にあるからといって味方をしてくれる訳ではありません。『法律』は、”法律を知っている者に味方する!!”ものだというのが、私の実感です。自分を弱者であるとか、被害者であると頑固に言い続けているだけでは、望んだ結果を導けるものではありません。」
上記の見出しに”そういうものなんだ”と強くひかれ依頼してみようと思いました。なにか安心できそうな力強い物を感じました。
連絡後の対応も早かったですので期待もしましたし、頑張ろうとも思いました。心配だったのは実際費用はどれくらいかかるのかでした。
諸費用は実費、裁判費用は国から保証されるとは言うけど~?
初めての経験で何も分からないので、大変とか辛い事はどういう事なのか分からないでやっていましたし、裁判をするという事はこの様な事をする事なのだと思いこんでいました。
私の場合は個人的な問題が発生してではなく、国の提示してきている事を証明できるか否かでしたので、前田先生の言うとおりに行動しただけでしたので、確かに調べたりする事は時間がかかり仕事しながらでしたので大変でした。もっと自分に時間があったらいいなと思いました。
また、何十年も前の事を素人が証明すること自体、理不尽な要求だとも思いました。国の決めことなのでやはり信頼できる弁護士さんの腕に頼るしかない。
3年越しの月日が経つと、このままでいいのかどこまでやればいいんだろうかと、不安はよぎりましたが前田先生はいつも余分なことも言わずハッキリしている方でしたので、私も必要以上に質問もなく、言う隙間が無かったのが事実で指示に従っていたと思います。
結果思わぬ良い結果になりましたが、すべてはどこまでも良くなることを信じて行動することが大事と思いました。
結果、ダメだったとしてもスッキリした気分でいられたと思います。やれるだけの事は前田先生もかなり努力して、最後まで色々な可能性に挑戦して下さってましたので心強かったです。本当にお世話になり有難うございました。
C型肝炎訴訟の概要と本件訴訟での闘争に関して、もう少し、詳しく知りたい方は、以下をぜひご一読ください。
〝カルテ無し〟C型肝炎訴訟で和解
(初出:『財界さっぽろ』連載「会社を守る法律講座
第27回 [2013年08月取材])
2013年6月、当事務所が代理人を務めたカルテ無しのC型肝炎訴訟で、国と和解が成立したと各メディアが報道しました。
C型肝炎訴訟とは、出産や手術で大量出血した際に血液製剤フィブリノゲンなどの投与により、C型肝炎ウイルスに感染した方を救済する裁判です。
感染被害者を早期に一律救済する「被害者救済法」がつくられ、裁判の中で認められた症状に応じ、給付金が支給されます。しかし、フィブリノゲンなどの投与でC型肝炎ウイルスに感染したことを証明しなければなりません。
証明するためには、原則的にカルテなどの医療記録が必要となりますが、そもそも投与されていたのは昭和の時代。現在では病院からもカルテは保存されていないと回答される場合が多いのです。
当事務所でそれまで給付金の支給を受けた事例は4件あり、〝カルテ無し〟の案件だと母子手帳に投与が記載されていた事案と、投与した医師が名乗り出て投与の事実を証言してくれた事案でした。
しかし、今回のケースは被害者の医療記録などが全くない上、名乗り出る医師らもいませんでした。
被害者は、1985年にA病院で分娩中大量出血する事態に至り、フィブリノゲンを投与されてC型肝炎になったと2010年に訴えを起こしました。
幸い、担当した産科医師Bの名前を記憶しており、カンボジアで医療に従事していることが調査により判明しました。すぐに手紙を送り、協力していただけることになりましたが、投与は麻酔医の判断であり、B医師自身は投与の有無を確認していないとのことでした。ただ、「投与は間違いないだろう」というのです。
この証言を裁判に持ち込みましたが、国は納得しません。
そこで、麻酔医であるC医師を探しだしました。被害者の手術に立ち会ったかどうかの記憶はあいまいでしたが、麻酔専門医の立場で「当時の状況であれば投与したに違いない」という証言は得られました。
しかし、国はまだ納得しないのです。
そこで、当時、A病院に麻酔医を派遣していたD大学医学部麻酔学科の現在の教授に協力を依頼し、卒業生らで構成される同門会を紹介してもらい、85年当時A病院に赴く可能性のある医師16人に「この被害者の手術に立ち会ってないか」、「立ち会ったと思われる医師を知らないか」、「立ち会ったとしたらフィブリノゲンを投与したか」などの照会書を送りました。
そのうち9人から回答があり、複数の医師から「自分であれば投与した」という回答がありました。
これを裁判所に証拠として提出し、国はようやく和解に応じることとなったのです。
カルテも無く、投与した医師も確定できないまま国が和解に応じ、救済されることとなった貴重な事案となりました。