月刊「財界さっぽろ」2019年02月取材
生活に潜むリーガルハザード
前妻の子に相続させるなんて納得できない!
次のケースをご覧ください。
ケース1 夫であるAさんを亡くした妻のBさん。45年前、事業を立ち上げたばかりで貧困状態のAさんを支えて事業は大成功。しかしAさんは突然死。そこに離別したAさんの前妻Cさんの子が2分の1の遺産相続を主張。Bさんは横取りされるのが納得できない。
ケース2 子ども2人をもうけたDさん。晩年になって離婚した元夫Eさんは再婚し、2人の子と養子縁組。Dさんは自分の子と新婦の連れ子が同条件の相続というのが納得できない。
このようなトラブルは、感情的な部分が過大になれば迅速で円満妥当な解決が難しくなります。
実子でも養子でも亡くなった親との共同生活の有無を問わず、スタートとなる法律の定めは同一です。誰が相続するのか(相続人の範囲)、相続できる割合(法定相続分)は明確に定められています。
ただ、法律上・事実上の具体的場面では曲者で難解です。裁判所が事案との関係で基準(規範)を変更することもあります。婚姻していない男女の子(非嫡出子)の相続分は嫡出子の半分と規定されていましたが、最高裁判所が差を設けることは憲法(法の下の平等)に反するという場合もあります。
決して万能とはいえない「遺言」制度
相続はみなさんの関心の深い分野ですが、当事者として直面すると活用は難しいのが実情です。
「遺言」についても触れておきます。相続人によっては「遺留分」という遺言書によっても奪うことができない割合的な権利(相続分の半分)があります。ケース1でAさんが全ての財産をBさんに相続させるという遺言をしたとしても、Cさんの子が「遺留分減殺請求権」という権利を行使すると、遺留分として相続分の4分の1の権利を確保できるのです。
この遺留分を封ずる方法として、相続人としての立場自体を否定する「廃除」や遺留分をなくす「遺留分の放棄」という民法の制度もありますが、活用が難しい面があります。
なお、家庭裁判所で「遺留分の放棄」の正式な手続きを踏まずに、生前に相続人から「遺言書には文句をいわない」とか「一切財産はいらない」などという一筆をもらっていても、それだけでは無効とされてしまいます。
ちなみに、AさんとBさんの間に子がいない場合、Aさんが死亡するとAさんの兄弟姉妹も相続人となります。ただ、兄弟姉妹には遺留分がないので、Aさんの遺言により、相続の主張を封ずることができます。
次回はケース1・2を「内縁関係」などと仮定してさらに深掘りしていきます。
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