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第25話 専門家は減る一方。求めるのは知見?手軽さ?

月刊「財界さっぽろ」2021年04月取材

生活に潜むリーガルハザード

弁護士ならではの職業的習性を発揮

テレビでは朝から事件の現場に遭遇したと投稿された動画を基に衝撃映像を放映する番組が増えました。あおり運転や暴力行為などの場面をよく目にします。こうした番組では犯罪抑止にはつながらないだろうと専門家ぶって考えていましたが、タクシーに乗った際に思いついたことがあります。

「もしシートベルトを着用しないまま交通事故が発生したら、被害賠償はどう処理されるのだろう」と。今はタクシー乗車中も終止録画されるご時世ですから、タクシー会社のドライブレコーダーでの対策は完璧に違いなく、シートベルト着用を促すアナウンスも万全です。事故が起きた際に加害者側からシートベルト未着用という非を指摘され、過失相殺の主張をされて損害額の減額が争点となるはずです。面倒で着用しないことも多かったシートベルトを、今では短距離でも必ず着用しています。

このささいな思い付きは、職業的習性に基づく面が多いでしょう。大袈裟かもしれませんが、その道の専門家ですから、理屈を詰めた検討と経験に基づく知見、専門家の間でしか知られていない知見もあります。こういった専門性が物を言う場面は少なくありません。

 

専門家を求めるも本物はごく一部のみ

インターネットの普及と弁護士の大幅増員などを背景に、市民と弁護士との距離は縮まりましたが、弁護士業界全体を概して見ると、弁護士の専門性への期待より、すべてを任せられるという便利さが注目され、面倒なことをリーズナブルに〝代行〟してほしいという需要が増えているように思います。

翻って私が消費者として困ったことがあります。登山に必要な道具一式をそろえる機会があり、全くのド素人でしたので、とりあえず有名スポーツ店を訪れました。

しかし、素人だからこそ知りたいことを、少々、店員に聞いても「そこにある商品だけです」の繰り返し。
店員に商品知識が全くない。
結局、マニア相手に営業する店に辿り着き、ようやくそろえられました。

要するに、素人が専門的な事を求めても巡り会うことは一苦労なのです。販売もサービスも、お客に求められる専門性を確保するにはマニアを対象とせざるを得ず、今後は専門性の高い企業とそうでない企業が二極化し、前者は少数となるでしょう

私自身はと言えば、持ち合わせている実際の場面での経験に基づいて得た〝本には書いていない有用な知見〟の多くは、不特定多数に提供できるものではありません。

「失言」を擁護する考えは全くありませんが、場面によっては多数の人々から袋叩きにあう可能性があるからです。しっかりと信頼関係を構築した顧問先企業や常連の個人顧客など、一部の方だけにそっと語り、解決策を伝授しているのが現実です。

前田尚一法律事務所:フリーダイヤル 0120・48・1744

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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