第18話 テレワークの本質を考え、今こそ〝防衛〟せよ

月刊「財界さっぽろ」2020年08月取材

生活に潜むリーガルハザード

定着しつつある 〝苦肉〟のテレワーク

「カルビー、単身赴任解除も在宅勤務、無期限で延長、出社率3割に」――緊急事態宣言の全面解除後に報道されたニュースサイトの見出しです。「無期限で延長」とは、コロナ禍の延長線上ではなく「新制度」であり、出社率を3割前後に抑えるという意味です。

数カ月前まで、在宅勤務は非常時の苦肉の策という意味合いが強いものでした。企業が従業員への安全配慮義務を果たす上で自宅待機を命じるとなれば、給与の支払い義務の有無や程度の問題が生じるため、それを回避する手立てとしてテレワークが注目されました。

厚生労働省は、テレワークを「感染防止に向けた柔軟な働き方」とし、新規導入に取り組む中小企業を支援しています。厚労省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」は、2017年の「働き方改革実行計画」を受け、18年に策定されたものであり、当時は大きな流れにはなりませんでした。

しかし、コロナ禍で導入してみると、意外と勝手が良かった。企業側の「効率性」と従業員側の「通勤の苦痛がない」といったワークライフバランスが合致し、感染収束後も拡大すべきだとの回答(時事通信「労働に関する世論調査」)が7割にのぼったのです。

 

〝人減らし〟の序章?在宅勤務拡大の裏

こうした労働環境の変化はさておき、コロナ禍における企業の売上減・収益減が避けられない中、これまでの「人手不足」に対する対応が本当に正しかったのかという疑問も生じ、逆に「人減らし」の流れも出はじめています。

コロナが収束したからといって、景気悪化の長期化は濃厚です。「人余り」そして「人減らし」を前提とする経営方針の転換は必然とも言えるでしょう。

テレワークの本格導入という潮流を別の視点で考察すると、「人減らし」に向けた踊り場の設定にも見えてきます。テレワークや在宅勤務は、労使の緩やかな関係をつくり出しやすいでしょうから「人員縮小策」の実施がこれまでよりも容易になると想像できます。

マスコミの報道などでもてはやされている場面ばかりに目を向けていると、仕組みの「本性」の検討を怠ることになるかもしれません。労使いずれの立場においても、〝防衛〟の視点が必要です。

この流れを将来を見据えた目的達成のために活用するということであれば、徹底した検討が必要となるでしょう。

企業の立場であれば、このターニングポイントを生かすも殺すも経営者次第です。見た目の流行に惑わされて短絡することなく、一手二手先を読みながら、有益有効な活用を模索していく必要があるでしょう。

前田尚一法律事務所:フリーダイヤル 0120・48・1744

 

 

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