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83歳の商店主は何を守ろうとしたのか――立退料1700万円の事例から考える

立退きを求められたとき、多くの人はまず立退料の金額を気にします。

しかし実際には、立退き問題は単なる金額交渉ではありません。

・営業を続けたいのか。
・廃業を考えているのか。
・生活をどう維持するのか。
・家主は本当に何を求めているのか。

立退き問題では、法律論だけではなく、依頼者自身が何を望み、何を優先するのかを整理することが重要になります。

本稿では、当初90万円余りだった立退料が1700万円となった事例を素材に、立退き問題で本当に整理すべきことについて考えてみたいと思います。

立退き問題では、何を整理し、何を判断するのか

立退き問題では、何を整理し、何を判断するのか

立退きを求められたとき、多くの人はまず立退料の金額を気にします。

しかし、実際の現場では、立退き問題は単なる金額交渉ではありません。

・営業を続けるのか。

・廃業するのか。

・移転するのか。

・生活をどう維持するのか。

立退き問題では、法律問題以上に、何を守り、何を優先するのかという判断が結果を左右することがあります。

 

実際の事例

かつて市場内で長年食品販売を営んでいた83歳の女性から相談を受けたことがあります。

建物の老朽化を理由として立退きを求められ、当初提示された立退料は約90万円でした。

しかし、本件で最初に整理したのは立退料の金額ではありません。

依頼者は83歳。

後継者もなく、多くの店舗が既に市場から撤退していました。

そのため、

「営業を続けるか」

ではなく、

「どのような形で店を閉じるのか」

が本当の問題でした。

・借入金の状況、

・今後の生活、

・市場全体の状況、

・家主側の再開発計画、

・依頼者の希望

を整理した上で交渉を進めました。場合によっては、長期戦をしても大丈夫である事情も見付け出しました。

結果として立退料は約1700万円となり、依頼者は借入金を清算し、望んでいた形で廃業することができました。

この事例で重要だったのは1700万円という数字ではありません。

「これからどうするか」について、

何が問題なのかを整理し、

何を守りたいのかを明確にし、

依頼者自身が、どの選択肢を選ぶのかを決めたことです。

 

立退き問題では、

「いくらもらえるか」

だけではなく、

「これからどうするのか」

という判断が結果を左右します。

 

当事務所では、目の前の法的論点だけではなく、初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実的な判断を重視しています。

立退きを求められている方は、まず金額の話をする前に、問題全体を整理することをお勧めします。

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として30年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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