当事務所が担当した特別養護老人ホームをめぐる内部告発訴訟で、札幌高裁判決を最高裁で覆した事件があります。
判例上は、施設設置経営法人による損害賠償請求訴訟の提起が違法な行為に当たるかが争われた事案です。
最高裁は札幌高裁判決を破棄し、差戻しを命じました。
判例としては訴訟提起の違法性が論点となった事案ですが、実務の現場で私が強く印象に残っているのは別の点です。
特別養護老人ホーム虐待疑惑事件――「初動で結果が変わる」の原型となった実務経験
現場で問われていたもの
この事件は、単に損害賠償請求訴訟として捉えるだけでは十分ではなく、背景には法人と労働組合との従来からの対立があり、その過程で内部告発、関係官庁対応、報道対応など複数の問題が生じていました。
現在用いている言葉で整理すれば、
労使対立の延長線上に内部告発、報道、訴訟が現れた事案であり、
その本質は団体交渉や労使紛争の局面で見られる「初動対応」の問題だったように思います。
・誰が何を守るのか。
・どの情報を整理するのか。
・どの時点で判断するのか。
こうした判断の積み重ねが、その後の結果に大きな影響を与えていました。
現在の実務観との関係
当時はまだ、
・「判断構造」
・「判断主体」
・「初動で結果が変わる」
という言葉を使っていたわけではありません。
しかし振り返ると、行っていたことは現在と大きく変わりません。
法的紛争では、問題が大きくなってから何を主張するかだけではなく、
・初動で何を確認し、
・何を記録し、
・何を固定し、
どの順序で
判断するかが重要になります。
この事件は、現在私が実務で重視している考え方の原型の一つとなった経験でした。
当事務所では、
目の前の法的正解だけではなく、
初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。
実際の紛争や経営判断では、何を守り、何を優先するかが結果を左右します
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