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裁判に負ける経営者の共通点 ――「正しさ」に固執するほど会社は不利になる

「その判断、裁判では不利になります」

――結果を分けるのは法律知識ではない

「自分は間違っていない」
そう確信して裁判に臨んだ経営者が、結果として不利な判断を受ける。
実務の現場では、決して珍しいことではありません。

裁判は、正義感を競う場でも、納得感を通す場でもありません。
事実と評価、そして誰が、どの立場で判断するかによって結論が導かれます。
ところが、経営者自身の意思決定が、その前提を崩してしまっている場面を多く見てきました。

本稿では、法律論ではなく、
裁判で結果を悪くしやすい経営者の思考パターンに焦点を当てます。


裁判に「負ける」経営者の第一の特徴

――不可能を前提に議論を続ける

一つ目は、
できないことを、できるはずだと譲らない判断です。

経営者であれば、自分の考えに確信を持つのは当然です。
しかし、紛争の場で重要なのは、
「自分がどう思うか」ではなく、「誰がどう判断するか」です。

裁判では、
・法律上認められるか
・証拠で立証できるか
・社会通念上、合理的と評価されるか
といった基準で整理されます。

その枠組みを超えた主張を続ければ、
論点は拡散し、結果として核心を外していきます。
これは、感情の問題ではなく、構造の問題です。


裁判に「負ける」経営者の第二の特徴

――勝ちの保証がなければ動かない

二つ目は、
「勝てる保証」がなければ行動しない判断です。

裁判に限らず、人間社会の出来事に
「必ず起きる」「絶対に勝てる」は存在しません。

確率を並べても、未来は確定しません。
にもかかわらず、
「負ける可能性があるなら何もしない」
という選択をしてしまう経営者がいます。

結果として、
時間だけが経過し、状況が固定化され、
選択肢が減ってから動くことになります。
この段階では、すでに主導権は相手側にあります。


「待てば好機が来る」という誤解

「今は不利だが、いずれ状況が変わる」
「上の人間がいなくなれば、自分の番が来る」

こうした考え方も、現場ではよく耳にします。

しかし、
原因を分析せず、手を打たず、ただ待つだけでは、
好機は訪れません。

歴史を振り返れば、
「待つ」ことで知られる人物も、
実際には、自分が活躍できる環境を作り続けていたことが分かります。

正面からぶつかれば不利な局面では、
戦わない判断も戦略です。
ただし、それは「何もしない」こととは全く違います。


裁判は、経営判断の延長線上にある

裁判の結果は、
法廷に立った瞬間に決まるわけではありません。

その前段階、
・どの時点で動いたか
・何を記録として残したか
・どの選択肢を捨てたか
といった、日常の意思決定が積み重なった結果です。

だからこそ、
裁判は法律の問題であると同時に、
経営判断の問題でもあります。


覚悟と準備がなければ、結果は偶然に委ねられる

裁判に必要なのは、
気合や精神論ではありません。
一方で、知識や理屈だけでも足りません。

現実を直視し、
不利な点を含めて整理し、
その上で、どこで勝負し、どこで引くのかを決める。

この一連の判断には、
覚悟と準備の両方が求められます。


最後に

裁判で結果を分けるのは、
法廷での一言ではありません。
それ以前の、経営者の意思決定です。

「自分は間違っていない」
その確信こそが、
時に、最も危うい判断の出発点になることがあります。

前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として30年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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