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第1回 交通事故の示談を簡単にしてはいけない!

月刊「財界さっぽろ」2011年05月取材

会社を守る法律講座

前田 被害を「損害」という形で金銭的に評価し、加害者に支払いを求めます。ここでは人身被害についてお話しします。損害は、治療代、葬儀費用といった支出のほかに、事故に遭って失った収入といった財産的損害があります。死亡した場合、定年までの収入から、生活費を引いた額が損害となります。傷害の場合は、けがで休職し得られなくなった収入を損害とします。後遺症が残って仕事に支障が出た場合は、将来に渡って収入が減ると想定。1等級から14等級に区分され、100%から5%の労働能力が喪失したとして、減った分が損害となります。被害者の精神的苦痛も慰謝料として請求できます。

――この損害を、保険会社が賠償金として支払うわけですね。

前田 裁判で争った場合にくらべかなり低い額しか払われません。私が担当した事件の中に、後遺症が残り長期入院した女性がいました。保険会社は賠償金を、残り57万円しか出さないと告げましたが、裁判の結果2300万円の支払いを受けられました。別の死亡事故では、慰謝料は6000万円と提示でしたが、最終的に9200万円になりました。

――保険は無制限のものが多いと思いますが。

前田 自社基準の金額内で“無制限に払う”という意味です。保険会社の基準は裁判の基準に比べかなり低いです。保険会社は、被害者の過失部分を主張して更に減額しようとしてきます。保険会社が「判例があるので、被害者の過失は45%」と説明していた例がありました。実際に、裁判所が認めた過失は30%と低いものでした。後遺症の程度が一番低い14等級と認定された場合でも、保険会社の提示が150万円に対し、裁判では360万円以上の支払いを受けた事例があります。

――経営者の場合には、何か違いがありますか。

前田 サラリーマンであれば、年収を基礎収入とします。オーナーの報酬は、労働対価に加え会社の利益が含まれている場合があります。判例では利益部分を減額して算定することが多いです。ただ私が担当した事案の中に、裁判所に報酬を100%認めさせた事例があります。保険会社の言うことを信頼して示談にしてはいけません。弁護士に依頼して裁判までしないと状況は変わらないのです。当事務所では、交通事故の法律相談は無料です。保険会社等の提示した示談額が適正かどうかを鑑定するサービスも始めました。HPでも紹介していますが、お電話(0120・48・1744)ですぐ受付できますのでご利用下さい。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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