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第29回 過去の浮気を蒸し返され、まさかの離婚請求

月刊「財界さっぽろ」2013年10月取材

会社を守る法律講座

前田 今回は、ある経営者A氏が離婚相談に至った経緯を紹介します。以下、A氏との談話です。

A氏 最近、女房が私の昔の浮気を持ち出すんです。一度は許してくれたのに、今更裁判で離婚請求ができるのでしょうか。

前田 社長は仕事一本やりかと思っていたら、そんな過去もあったのですね。結論から言うと、浮気を許したということだけでは、離婚請求権はなくなりません。

A氏 そんな、まさか…。

前田 まあ、落ち着いて。せっかくですから、少し歴史の話をしましょう。第2次大戦前の民法では、相手を許した場合を「宥恕」と呼び「相手を一度許せばもう離婚請求はできない」ということを定めた規定がありました。

A氏 それはもっともなことです。一旦は許しておきながら、蒸し返すのはいかがなものか。私は「やり直したい」と土下座して謝ったんですから…。

前田 まあまあ、戦前の民法はちょっと事情が違うのです。不貞をしたという理由で離婚されるのは妻だけでした。夫は、浮気をしたとしても別の「姦淫罪」という刑事罰で処罰されなければ、離婚されませんでした。
「姦淫罪」というのは、戦前の刑法で定められていた犯罪で、既婚女性が夫以外の男性と男女関係を持った場合、その夫の告訴によって女性と相手の男性(間男)が処罰されることになっていました。
つまり、男性は既婚者であっても、相手の女性が独身であればおよそ処罰の対象にはなりません。従って、旦那さんが、愛人をいっぱい抱えていても、妻は法律的に文句の言いようがなく、離婚されることもなかったのです。戦前は、民法も刑法も〝男尊女卑〟が徹底されていました。

A氏 今は、そのような事情はないですよね。

前田 はい、現在の民法では離婚原因についても男女平等であり、「宥恕」の規定もありません。夫が浮気をし、その時の確執が尾を引き夫婦関係が壊れてしまう場合があるのも事実です。裁判所にとって「相手を一度許した」ということは、判断材料の一つに過ぎず、離婚に至る原因が何であるかを総合的に判断します。つまり、過去の浮気が原因で夫婦関係が破綻したという実態が認められれば、たとえ一旦許したとしても離婚請求が認められるケースがあるのです。

社長はいかがでしょう。一時期「リストラ離婚」なんて言葉もはやりましたが、今は男性にとって、大変な時代かもしれません。

A氏 …。先生、近々相談に乗ってくれませんか…。

前田 離婚など経営者のプライベートに関わる法律相談にも応じています。ぜひご利用ください
(0120・48・1744)。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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