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第31回 パタニティハラスメントを知っていますか?

月刊「財界さっぽろ」2014年1月取材

男性従業員の育児休業取得に関して相談された事例

会社を守る法律講座

前田 今回は、ある経営者A氏から男性従業員の育児休業取得に関して相談された事例を紹介します。以下談話です。

A氏 当社の男性従業員から育児休業の申請を受けました。一喝しましたが決着がつきません。

前田 それは「パタハラ」、つまり「パタニティハラスメント」と呼ばれる場面です。男性の育児休業の取得などを邪魔するような言動を指し、法律的には男性従業員に対する嫌がらせと捉えられてしまいます。

A氏 なんと…。育児は奥さんにまかせるべきでは。

前田 そういう考え方自体、旧来の男社会の価値観を押し付けるものだと言われるのです。所定の要件はありますが、法律上男性も育児休業を取得できる権利があります。

しかし、2012年度の男性の育児休業取得率は、1.89%と低く、企業側の環境づくりが悪いとまで言われています。
我々の若い頃とは大きく異なり、現在では物事の考え方の違いや価値観の違いにより、紛争や対立が増えています。それは労使間でも例外ではありません。

むしろ、雇う側、雇われる側では立場が全く異なるため、溝ができるのは当然の結果とも言えます。価値観は多様であり、お互いの価値観にまで踏み込んで尊重しなければならない、という風潮を理解しなくてはなりませんし、そのような前提で法律問題も処理されています。

つまり、相手の価値観をおかしいと決め付けて対応するのは絶対にNGです。セクハラにせよパワハラにせよ、ハラスメント問題は世間から企業が加害者側と見られた場合、信用失墜、風評被害にもつながりかねません。パタハラも同様ですので、価値観が違うから仕方がないでは済みません。適切な対処が極めて重要です。

A氏 これからどのように対処すればいいでしょうか。

前田 問題が発生したら、「許せない」、「反撃したい」と感情ばかりに捉われがちですが、まずは問題の核心が何かをきちんと捉えることが必要不可欠です。
その上で、その場その場の状況を個別的かつ具体的に把握し、技術的なことも含めてどのような対応をするのが得策かをきちんと考えて対応することです。
とはいっても、理屈ばかりでは何も生みません。具体的な内容を分析しながら、先ほどの男性従業員にどのような対応をしたほうがよいかを一緒に考えてみましょう。一緒に考えれば、きっとよい対応策が発見できるはずです。

当事務所では、ハラスメント問題はもちろん、問題社員への対応など、企業の労務における悩みについても相談に応じています。気軽にお電話ください(0120・48・1744)。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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