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第15話 コロナショックでよりシビアに。借りたものは返せ!

月刊「財界さっぽろ」2020年05月取材

生活に潜むリーガルハザード

〝うっかり〟では許されないのが法律

新型コロナウイルスが世界的に流行し、不安な日々が続いています。漠然とした不安にさいなまれ、やるべきことの優先順位を低くし、自分でコントロールできることでも疎かにしてしまうことも少なくありません。
ただ〝うっかり〟では済まないことが幾つもあるのが現実です。

「分割払いで契約していたのに、全額払え、と請求が来た」
「分割払い中だが、今月は苦しいので来月2か月分払おう」
平常時でもしばしば見られる事態ですが、コロナショックの今、まさに増加しそうな予感です。

「これまできちんと払っていたのだから、ちょっと待ってくれても」といった気持もわかります。 しかし、それを許さないのが法律。前述の2人の声の主は、とても重大な局面にいるのです。

約束を守らなければ一括返済を迫られる?

借りたものは返す。本来は一括して直ぐに返すというのが原則ですが、社会生活上そうもいかないので、分割払いとして期限(支払期日)ごとに分割金を支払っていく約束(契約)をするわけです。

貸す側、借りる側のそれぞれに思惑・目論みがあります。返す側は、この約束によって期限が来るまでは返済しなくてよいという利益が生じます。この利益のことを「期限の利益」といいます。

借りる側が「絶対、約束を守ります!」と言うからこそ貸す側は信用し、きちんと約束どおり支払うという前提で利益をくれるわけで、約束を守らなければ「分割は中止」と言いたくもなります。

こうして残金の期限を全てチャラにされ、すべて一括で支払わなければならなくなる状態が「期限の利益喪失」です。せっかくの優遇措置(期限の利益)が奪われる(喪失)ことになるのです。

貸す側は、分割の約束をする際、あらかじめ分割ができなくなる場合のことを決めておく必要があります。これを「期限の利益喪失条項」と呼びます。
ある消費者金融の契約書で定められている実例です。

第7条(期限の利益の喪失)
本契約成立後、債務者または連帯保証人について次の各号の事由が1つでも生じた場合には、債権者からの通知催告がなくとも債権者に対する一切の債務について当然に弁済期限の利益を失い、直ちに債務の全額を支払います。
①支払期日までに利息、または元金の支払いを怠ったとき②以下省略。
つまり、1円足りなくても、1分遅れてもダメ、という意味です。サラ金に限らず、銀行やクレジット会社から借入れされている方、カードをつくってショッピングで分割払いされている方。必ず契約書には、期限の利益喪失条項が入っています。お気を付けください。

 

前田尚一法律事務所:フリーダイヤル 0120・48・1744

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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