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「日航機・海保機衝突事故」と裁判官に対する当事者の失望

海保機は滑走路に40秒停止、管制官「進入に気付かなかった」
…許可なく停止位置で止まらず

讀賣新聞オンラインの記事(2024/01/05 05:00)の見出しです。

日航機・海保機衝突事故の責任原因については、
管制塔側の交信記録や、各事故機のフライトレコーダー・ボイスレコーダーの内容が公開されれば、明らかになりそうですが、
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef1255079d29682adb913941f5326f627775e1e4

そうもいかないのが、この複雑な世の中です。

「滑走路への進入許可」と海保機側が指示取り違えとなれば、責任原因は海保機側にあると思われるけれど、

海保機は滑走路に40秒停止、管制官「進入に気付かなかった」となれば、すぐに管制官は本来の停止位置まで戻るように指示すべきであったとなれば、管制塔側の責任原因も浮上してきそう。

出来事について、事後的に元に戻すことはできないことを前提に何らかの解決を図ろうとすれば、「事実」の確定と「評価」という別の作業が必要。
その場合、事実を評価する基準が必要で、そのために「規範」が用意されています(規範の源は様々で、法律は、国会が用意した規範です。)。

しかし、「事実」認定と「評価」は、それぞれ自体が難しい上、これらが絡み合うと多義的になりがち。

ところで、
規範を基に、事実を評価する手法が、「三段論法」です。
三段論法の教科書的な例としては(アリストテレスの例文だそうな。)、
大前提:すべての人間は死すべきである。
小前提:ソクラテスは人間である。
結論:ゆえにソクラテスは死すべきである。

裁判は、理屈としては、この三段論法で判断が下されます。

もっとも、実際の出来事について、後から何らかのひとつの答えを決める、というのは難しい。
日航機・海保機衝突事故については、公開される更新記録などによって、個々の事実自体はかなり客観的に確定できそうですが、裁判では、客観的な証拠が
ちんとあるとは限らず、「事実」認定自体が難しい。

しかも、現実的には、物理的にやむを得ないという限界に加え、ノイズに限りなく近づく事柄も大きく作用するのが実情です。

https://xn--zqsz8jspao5xhl1c.com/archives/10321
(「訴訟の現場では、……、訴訟の係属中の言動、判決の内容によって当事者が判決に対して失望することが多い…………」との指摘)

https://xn--zqsz8jspao5xhl1c.com/archives/other/%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AC%E3%81%8C%E4%BB%8F%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%83%BB%E6%83%85%E5%A0%B1%E7%B5%B1%E5%88%B6%E3%81%AE%E6%81%90%E6%80%96%EF%BC%8D%E7%BE%BD%E7%94%B0%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E5%B0%81%E9%8E%96
(『知らぬが仏・・・情報統制の恐怖-羽田空港封鎖の場合 』)

 

前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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