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第14回 ちょっと待った!新規事業を始める前に

月刊「財界さっぽろ」2012年06月取材

会社を守る法律講座

――本業がうまくいかないので、新規事業で挽回しようと考える経営者は多いようです。

前田 本業と違う分野に飛び込む場合、慎重でなければなりません。信頼できる人だと思っていたのに権利金を支払ったら、そのまま行方不明になったとか、規模を拡大している企業だから安心だと、そのフランチャイズに加盟したら、実情は資金を集めるために自転車操業で火の車。結局、倒産してしまったという事件もよく起きています。

――それは詐欺罪で告訴すればよいのでは?

前田 初めから騙すつもりであれば、詐欺罪が成立することもあります。しかし、騙す意思は心の内面の問題です。立証がなかなか難しい。捜査機関もなかなか動いてくれません。仮に詐欺罪が成立したとしても、せいぜい刑務所に入るくらいです。捕まっても資産がなければ、返済を受けることができません。

――詐欺には当たらないということですか?

前田 中国の例をご紹介しましょう。女性企業家が販売会社を設立。高い配当を宣伝文句に日本円で約100億円を集めました。金は宝石や高級自動車の購入、借金の返済に消えました。女性経営者は逮捕され、中国の裁判所は詐欺罪で死刑判決を言い渡したのです。ところが中国国内では、「借金をして失敗したら死刑というのであれば、安心して事業をすることができない」との批判が高まり、最高裁で死刑が覆りました。詐欺罪は死刑という中国ですらこの判例です。これが日本を含め世界のスタンダードです。

――被害者は泣き寝入りですね。

前田 詐欺かどうか考える前に、これから事業を始めるというのであれば、初めから成功するかどうかをきちんと検討して決めることです。本業がダメで困っていると、目の前のもうけ話に飛びつきやすい。目が曇るどころか、裏付けがないのに「ウマくいくに決まっている」と思い込んでしまう。ハイリターンの裏にはハイリスクがあるのです。

――弁護士さんに相談する必要はありますか。

前田 世の中には、成功を嗅ぎつける類い希な勘を持った人もいます。99%の人はその能力はありません。それを補う専門家の意見を聴く中で進めなければ、物事が上手に進むはずがありません。分野毎に専門家は違いますが、例えば倒産事件や詐欺事件、消費者事件などの具体的事案は把握しています。それと類似するかどうかなどについて、法律的観点からのアドバイスは可能です。当事務所では、このような相談も取り扱っていますので、ぜひご相談ください。

 

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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