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第35回 餅は餅屋に。企業法務は弁護士に

月刊「財界さっぽろ」2014年6月取材

会社を守る法律講座

前田 今回は、ある顧問企業先のA氏が、会社の契約担当になったと相談された事例を紹介します。以下談話です。

A氏 当社の社長から、会社の契約関係を担当しろと命令がありまして。早速、専門書を買って取り組んでいます。

前田 読んでみていかがですか。

A氏 「契約」とは「相対立する複数の意思表示の合致によって成立する法律行為」なんて書いてあり、面食らいました。でも、口約束だけで契約は成立するのが原則というのはなるほどと思います。

前田 「契約」は〝法律上の拘束がある約束〟という程度に捉えたほうがよいでしょう。では、口約束だけでもよいのにあえて契約書を作るのはなぜだと思いますか。

A氏 一つは、裁判となる場合などを想定して証拠を残すということ、もう一つは法律で決められている以上に有利な特約を結ぶことができることと書いてあります。

前田 有利な特約とは、例えばどんなものでしょう。

A氏 分割で返済する場合の金銭貸借契約を貸主の立場で締結する際、分割の支払いを2回以上怠れば、残額を一括して支払わなければならないという条項を入れるなどでしょうか。

前田 お金を分割で借り、2回分程度で溜め込むような人が、残金を一括で返せると思いますか。

A氏 では、家主の立場で建物賃貸借契約を結ぶ場合、賃料の支払いを1回でも怠れば、賃貸借契約が直ちに解除され、建物を返還しなければならないという条項だとどうでしょう。

前田 賃借人に一方的に不利益なので、借地借家法という法律で無効でしょう。つまり、中小企業間や会社と個人の場合、有利な特約を結ぶといっても限度があり、その効力を期待しても現実的でない場合が大半です。契約書を作る本当の理由は、後日トラブルとならないよう契約内容をはっきりと確認することにあります。
約束した内容を心の中にきちんと刻み込んでもらい、もし約束を破れば大変なことになると意識してもらうこと、そして、それを継続することに契約書を作る意味があると理解してください。

A氏 素人が専門的な本を読んで勉強しても「生兵法はケガの元」ということですね。

前田 はい。御社はせっかく当事務所と顧問契約を結んでいるのですから、個別な案件毎に実務的な対応を相談してください。契約書書式集には載っていないような場面もたくさんありますし。本には書いていないノウハウを蓄積していけるはずです。

当事務所では、企業法務全般に対応しております。気軽にお電話ください(0120・48・1744)。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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