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第8回 訴訟を戦略的に利用する

月刊「財界さっぽろ」2011年12月取材

会社を守る法律講座

――島田紳助さんが名誉毀損で出版社を提訴しました。いよいよ追い込まれたということですか。

前田 そうは思えません。前回芸能界への復帰作戦の話をしましたが、現在の状況では絶妙のタイミングで訴訟提起したと思います。

――どうしてですか。

前田 不祥事報道をされた場合、特に大手の場合、灰色と言われながらも人々は黒に近い印象を抱きます。まさに有罪の推定です。10年ほど前、ある市議会議員の依頼で,新聞社に対する名誉毀損事件を担当しました。詳細は、当HPをご覧頂ければと思いますが、新聞に業者との癒着に関する記事が掲載された事案です。この議員は、市民の集まりの場で○新聞が間違うはずがない。潔白というのなら証明しろと詰め寄られました。 しかし、本来は事実があったという側に立証責任があるのが通例。実際にあった事実を証明することに比べ、事実がなかったことを証明することは、悪魔の証明と言われるほどとても難しことです。

――報道された側としては、裁判手続きの中で、報道した側が事実を証明できない状況にさせて、潔白であることを明らかにできる、ということですね。

前田 そればかりではありません。むしろ、絶妙のタイミングと言ったのは今、訴訟提起することにより、報道は誤りだという自信と確固たる姿勢を表明し、世間の心証を白の方向にシフトできます。現に市議会議員の場合、訴訟継続中の選挙でもしっかりと当選していました。しかも、所属していた会社が一緒に裁判を起こせば、見放されていないと印象付けられる上、多数の売れっ子タレントを擁するこの会社の業界での影響力は絶大。テレビ局やタレント達もうかつに島田さんが不利になるような発言や行動はできない。まさに「戦略訴訟」という側面が顕著です。

――よいことばかりですね。

前田 そうとも言えません。安易な訴訟提起は自分を苦しめることにもなります。有名人が、公的地位や社会的地位を確保するという面では、状況と作戦次第で有効な手段となる場合があります。しかし、個人的には鉄のような強靱な意思が必要です。「人の噂も75日」といわれますが、多くの場合訴訟が終わる頃には世間は忘れていますが、白黒がつくまでの間、本人の精神的負担はとても大きい。前述の市会議員の案件でも、当時としては高額の賠償額で勝訴しましたが、心労が継続していました。 訴訟を起こす場合は,その戦略としての役割と負担をきちんと検討しなければなりません。 当事務所では、マスコミ対応の組み立てなども含めこの種の案件を取り扱っています。ぜひご相談ください。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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