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内容証明郵便を送る前に|AIの案文だけでは決められないこと

最初の一通で、何を伝え、次にどう動くか

従来、専門知識がなければ難しかった法律文書の作成も、AIを使えば誰でも手軽に行えるようになってきました。
AIによる法律文書作成を提供するWebサービスも増えています。
確かに、法律分野におけるAIの能力の向上は目覚ましいものがあります。しかし、ハルシネーションや専門知識の問題に加えて、考えておくべきことがあります。
ここでは、内容証明郵便を例に説明しましょう。
内容証明郵便のAIの案文が手に入っても、そのまま送ってよいかは別の問題です。何を求めるのか、今送るべきか、相手が応じなければどうするか。最初の一通を、その後の対応まで見据えて考える必要があります。

文書ができたことと、送る準備ができたことは違います

「代金を支払ってほしい」「契約を終わらせたい」「相手の行為をやめさせたい」。

こうした要求を文章にすることは、AIを使えば以前より容易になりました。しかし、読みやすく、法律用語も整った文章だからといって、今の状況に適した通知とは限りません。

内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を誰から誰へ差し出したかを証明する制度です。記載内容が真実であることや、要求が法的に認められることまで証明するものではありません。

大切なのは、文章の体裁とともに、送付によって何を実現しようとしているかです。

同じ要求でも、目的によって書く内容が変わります

例えば、未払代金を請求する場合でも、取引を続けながら支払を求めたいのか、取引を終えて回収に進みたいのかでは、伝え方が変わります。

契約を続ける余地を残すのか、終了に向けた意思表示をするのか。相手に説明を求めるのか、こちらの要求を明確にするのか。

これらが曖昧なまま、文例の強い表現だけを借りると、意図しない対立を招いたり、その後の方針と食い違ったりすることがあります。解除などの法的効果を求める通知では、表現だけでなく、その要件や手続の確認も必要です。

送る前に、裏づけと時期を確認します

通知を受けた相手は、反論を準備したり、それまでとは異なる対応を始めたりすることがあります。

送付前に、少なくとも次の点を確認します。

  • 要求を裏づける契約書、メール、請求書などがあるか
  • 事実として確認できたことと、推測していることが混ざっていないか
  • 通知の前に確保しておくべき資料があるか
  • 法律上・契約上の期限や、先に行うべき手続があるか
  • 今送ることで、取引や事業にどのような影響が生じるか

「慎重に考えること」は、送付を先延ばしにすることではありません。急ぐ必要がある場合には、期限に間に合う対応を優先し、その範囲で確認を進めます。

相手が応じなかったときの対応まで考えます

支払を求めたのに返事がない。事実を全面的に否定された。別の請求を返された。

最初の一通を送るときには、こうした反応も想定しておく必要があります。

資料を追加して交渉するのか、法的手続を検討するのか、費用や回収の見通しを踏まえて要求を見直すのか。次の対応が見えないまま強い要求をすると、その後の判断が難しくなることがあります。

当事務所の初動支援について

当事務所では、相談内容に応じて、内容証明郵便の作成・送付など、必要な範囲に限定したご依頼をお受けすることがあります。

その際も、依頼者の方が何を実現したいのか、通知にどのような意味があるのかを確認し、対応範囲を定めます。送付後の交渉や訴訟まで、当然に含まれるわけではありません。

内容証明郵便は、送ったことで問題が終わるものではありません。最初の一通を、その後の判断につながるものとして準備することが重要です。

 

当事務所では、
目の前の法的正解だけではなく、
初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。

実際の紛争や経営判断では、初動で何を整理し、何を守り、何を優先するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。

そのため、法律的な見通しをご説明するだけでなく、状況や選択肢を整理し、依頼者の方が納得して判断できるよう支援することを大切にしています。

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として35年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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