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経営者・資産家の離婚と財産分与

相手が会社を経営している。財産はあるはずだが、預金や株式の内容が分からない。あるいは、自分が経営する会社への影響を抑えながら、離婚条件を整理したい。
経営者・資産家が当事者となる離婚では、財産の所在、取得の経緯、評価、支払方法を確認し、生活と事業の双方を見据えて対応する必要があります。

会社の株式、不動産、会社への貸付金――何を調べ、どう評価し、どの条件で解決するか

経営者・資産家が当事者となる離婚で、最初に確認すること

「財産の半分を受け取れるのか」「会社まで分けなければならないのか」。
こうした問いに答えるには、まず、誰がどの財産を持ち、いつ、どのような資金で取得したのかを確認する必要があります。
前田尚一法律事務所では、札幌を拠点に、経営者・資産家ご本人と、その配偶者の方の離婚・財産分与について、財産関係や会社との関係が争点となるご相談に対応します。相談内容と資料を確認し、交渉・調停・訴訟を含め、必要な対応と受任範囲を検討します。

特に、次のような場面が対象となります。

  • 相手が会社経営者で、個人財産と会社の財産の区別が分からない。
  • 非上場株式や会社への貸付金が、提示された財産一覧に含まれていない。
  • 自宅や賃貸不動産が複数あり、評価や借入金の扱いで対立している。
  • 婚姻前の財産や相続財産と、婚姻中に形成した財産が混在している。
  • 配偶者も株主・役員で、離婚と会社の経営権の問題が重なっている。
  • 高額の支払を求められているが、手元資金が乏しく、事業継続への影響が心配である。

会社の財産と、経営者個人の財産を分けて確認する

会社名義の預金や不動産は、原則として会社の財産です。経営者の離婚だからといって、そのまま夫婦の財産分与の対象になるわけではありません。
一方、経営者個人が持つ自社株式や、会社に対する貸付金債権は、会社の財産とは別に検討する必要があります。

確認する財産 主な確認事項
自社株式・非上場株式 株主、取得時期・原資、持株数、会社の資産・負債、評価方法
会社への貸付金 貸主、貸付原資、残高、返済状況、回収可能性
自宅・賃貸不動産 名義、取得原資、時価、借入残高、賃料収入
預貯金・有価証券・保険 残高・評価額、取引履歴、資金移動、解約返戻金
相続・贈与に由来する財産 取得経緯、裏付け資料、その後の売却・買換え・資金混在

会社の決算書に「役員借入金」と記載されている金額は、役員側から見れば会社への貸付金であることがあります。帳簿上の名称だけで終わらせず、誰が、どの資金を貸したのかを確認します。
また、会社が持つ不動産などを株価に反映させる場合、その不動産を別途個人財産として加算し、二重に計上しないよう注意が必要です。

相手が経営者の場合――提示された財産一覧の前提を確かめる

相手が会社の資料を管理している場合、配偶者の方には財産の全体像が見えないことがあります。
このときは、「隠しているはずだ」と主張するだけでなく、不足している情報と、確認の手掛かりを具体化します。

例えば、個人の確定申告書、会社の決算書・勘定科目内訳明細書、不動産登記、預金の取引履歴などを照合し、株式や貸付金の記載漏れ、資金の移動、説明と資料の食い違いを確認します。
資料が得られない場合には、任意の開示要請のほか、弁護士会照会や裁判所を通じた調査・提出を求める手続などについて、利用条件と見込まれる効果を検討します。弁護士に依頼すれば、あらゆる口座や財産を一括して把握できるわけではありません。
相談時には、適法に保有・入手している資料と、把握している会社名・金融機関名・不動産の情報を整理することが出発点になります。

非上場株式は、評価額の数字だけでは判断できない

非上場株式には、上場株式のような市場価格がありません。
額面や出資額、税務上の評価額が、そのまま財産分与で採用されるとは限りません。会社の資産・負債、収益状況、保有不動産の価値、株主構成などを踏まえ、評価方法と前提資料を検討します。
また、婚姻前から保有する株式や、相続・贈与によって取得した株式については、取得経緯と婚姻中の維持・増加への寄与などを踏まえ、対象となる範囲を慎重に検討する必要があります。婚姻中に値上がりしたというだけで、増加分が当然に対象となるわけではありません。
相手の提示額に異議を述べる場合も、どの資料が不足し、どの前提に争いがあるのかを示すことが重要です。必要に応じて、税理士・公認会計士等の専門的検討を要する事項を整理します。

経営者ご本人の場合――事業継続と適正な清算を両立させる

財産が多くても、その大部分が自社株式や事業用不動産であれば、直ちに多額の現金を用意できるとは限りません。
そのため、対象財産と評価額を検討したうえで、現金で支払うのか、不動産を移転するのか、分割払いとするのか、それぞれの負担と実現可能性を確認します。資金繰りや税負担、借入先との関係も無視できません。
事業を続けたいという事情だけで、配偶者の正当な清算の権利がなくなるわけではありません。他方、支払額だけを先に合意すると、履行できず、新たな紛争を招くおそれがあります。
配偶者が株主・役員・従業員である場合には、その地位や権利関係も別途確認します。離婚の合意だけで、株式や役員の地位まで当然に処理されるものではありません。

「いくらで合意するか」と同時に、「実際に受け取れるか」を考える

財産分与を受ける側にとっては、金額に加え、支払の確実性が重要です。
分割払いであれば、支払期限、担保、支払が遅れた場合の扱いを確認します。不動産を取得する場合には、借入金、抵当権、維持費、売却のしやすさも検討します。
財産処分のおそれが具体的にあるときは、保全処分の要否と、そのために必要な資料を早期に検討します。
別居中の生活費である婚姻費用は、離婚時の財産分与とは区別して考えます。生活を維持するために何を先に決める必要があるかも、対応の順序に関わります。

当事務所の対応方針

弁護士前田尚一は、35年以上の弁護士実務を通じ、企業法務、少数株主・会社支配権、不動産、相続・事業承継などの問題に取り組んできました。
経営者・資産家が当事者となる離婚でも、夫婦の財産関係と、会社・不動産・親族の権利関係を区別し、争点と資料を整理することを重視します。

検討は、主に次の順序で進めます。

  1. 財産と負債、取得経緯、現在の資料を確認する。
  2. 不足資料と争点を絞り、調査・評価の方法を検討する。
  3. 生活費や財産処分への対応など、急ぐ事項を決める。
  4. 交渉・調停・訴訟の見通しと費用・期間を比較する。
  5. 支払の確実性と、解決後の生活・事業を踏まえて条件を検討する。

請求する側、請求を受ける側のいずれについても、見通しと限界を示し、ご本人が条件を選べる状態を整えます。

当事務所では、目の前の法的正解だけではなく、初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。
実際の紛争や経営判断では、初動で何を整理し、何を守り、何を優先するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。
そのため、法律的な見通しをご説明するだけでなく、状況や選択肢を整理し、依頼者の方が納得して判断できるよう支援することを大切にしています。

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として35年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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