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同じ事件でも結果が変わるのはなぜか――裁判の裏側にある判断構造

裁判は法律に従って行われます。

しかし、実際の訴訟では、法律や証拠だけでは説明しきれない「判断」の問題が存在します。

同じような事件であっても、結果が異なることがあります。

なぜそのようなことが起きるのでしょうか。

長年訴訟実務に携わる中で感じるのは、裁判とは単に法律を適用する作業ではなく、事実を理解し、整理し、評価する「判断の過程」でもあるということです。

今回は、裁判の裏側にある判断構造について考えてみたいと思います。

判断の差はどこから生まれるのか

同じ事件でも結果が変わるのはなぜか

法律相談を受けていると、

「この事件は勝てますか」

という質問を受けることがあります。

もちろん、法律上の見通しを説明することはできます。

しかし、実際の裁判は、法律条文だけで機械的に結論が出るものではありません。

同じような事案でも、主張の組み立て方や証拠の出し方によって結果が変わることがあります。

裁判には、法律論だけでは説明できない「判断」の要素が存在するからです。


裁判官はまず事案を理解する

裁判官は法律を適用します。

しかし、その前に行っていることがあります。

それは、

「何が起きたのか」

を理解することです。

どの事実が重要なのか。

当事者は何を争っているのか。

なぜこの紛争が起きたのか。

裁判官は膨大な資料を読みながら、まず事件の全体像を把握しようとします。

つまり裁判では、

法律の適用より前に、

事案の理解という工程が存在します。


情報が整理されているかどうか

実務を行っていると、

結果の差は法律論そのものより、

情報整理の差から生まれることが少なくありません。

争点が整理されている事件。

時系列が明確な事件。

証拠との対応関係が分かりやすい事件。

こうした事件は理解されやすくなります。

反対に、

資料が大量にあっても、

何が重要なのか分からない事件は理解が難しくなります。

裁判官も人間です。

理解しやすい情報と、

理解しにくい情報があります。


裁判だけの話ではない

実は、この問題は裁判だけに限りません。

会社経営でも、

相続でも、

株主間紛争でも、

建設請負紛争でも、

最終的には誰かが判断しなければなりません。

そして人は、

整理されていない情報の中では適切に判断することができません。

何を問題と考えるのか。

どの選択肢があるのか。

どのリスクを受け入れるのか。

その前提となるのが情報整理です。


弁護士の仕事は何か

弁護士の仕事というと、

法律知識を提供することだと思われがちです。

もちろんそれも重要です。

しかし実務では、

問題を整理し、

争点を整理し、

判断できる状態を作ることも同じくらい重要です。

裁判では裁判官が理解できる状態を作る。

相談では依頼者が判断できる状態を作る。

私は、その役割も弁護士の重要な仕事だと考えています。


初動で結果が変わる

紛争の現場では、

最初にどの情報を集めるか。

何を整理するか。

どの順番で問題を考えるか。

これによって、その後の展開が大きく変わることがあります。

だから私は、

「初動で結果が変わる」

と考えています。

それは単なる手続論ではありません。

人が判断する以上、

最初に形成された理解の枠組みが、その後の判断に大きな影響を与えるからです。


判断構造を理解するということ

裁判は法律の世界です。

しかし同時に、

人が判断する世界でもあります。

法律を知ることは重要です。

けれども、それだけでは十分ではありません。

人はどのように理解し、

どのように判断するのか。

その構造を理解することが、

実務においては大きな意味を持つように思います

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として30年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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