第69回 備えあれば憂いなし。雇用の「2018年問題」に直面

月刊「財界さっぽろ」2018年09月取材

会社を守る法律講座

「残業時間の上限規制」「同一労働同一賃金の実現」「脱時間給制度の導入」を盛り込んだ「働き方改革関連法」

 6月29日、「残業時間の上限規制」「同一労働同一賃金の実現」「脱時間給制度の導入」を盛り込んだ「働き方改革関連法」が成立しました。以下はそれを受けて相談に来たA社長との対話です。

A社長 メディアは「日本の労働慣行は大きな転換点を迎える」「企業は生産性の向上に取り組まなければ、新しい働き方の時代に成長が望めなくなる」などと報じています。

前田 これに先立ち、6月1日に「同一労働同一賃金」についての「長澤運輸・ハマキョウレックス事件」の最高裁判決が出されたほか、4月から「無期転換ルール」が開始しています。盛りだくさんの労務環境の変化は、雇用の「2018年問題」と呼ばれています。

A社長 ただ、具体的な対応がさっぱりわかりません。

前田 構造的な「人手不足」が急激に進行する一方、「電通過労自殺事件」、ヤマト運輸「サービス残業事件」などが社会問題化し、労働者の権利意識が高まっています。戦後「70年ぶりの大改革」ともいわれる労働大転換ですが、政府主導であるだけに、大きな話ばかりに惑わされてはいけません。

かつて「コンピュータ2000年問題」がありました。発電・送電、交通、金融などの機能、通信機等が停止、さらには弾道ミサイルなどが誤発射されるともいわれていましたが、大きな混乱は一切起きませんでしたね。

ただ、事前に対策をしたからこそ「2000年問題」を回避できたのかもしれません。雇用の「2018年問題」については、労働慣行の大きな転換期であり、迫られる生産性革命ととらえつつも、具体的な対応については曖昧な危機感に惑わされず、実践的でリーズナブルに実施したいものです。ただ、中小企業は特に、現時点では具体的な対応にまで及んでいないケースが多いでしょう。

A社長 巷では、最高裁判決が出たり、法律が成立するたびに多数の〝緊急セミナー〟が開催されます。先生はセミナーを開催しないのですか。

前田 当事務所では「働き方改革関連法」成立後の動向を丁寧に観察・把握し、具体的方策がはっきりした時点でセミナーを開催する予定です。また、どの業界も人手不足の中、人材の確保・定着を妨げる労務問題に対する事前・事後対策について、実践的なキモを押さえた上で、雇用の「2018年問題」と絡めてどう取り込むべきかを明らかにしていきます。

各企業は独自性に応じて、個別具体的に問題社員の対応、諸施策の落とし込みをしなければなりません。また、政府は今回の「働き方改革関連法」で見送った「裁量労働制」の対象業務拡大に向けた検討を再開したとのことです。就業規則の制定・見直し、賃金制度の手直しはもちろん、法律制度の動きと企業内での社員の動きにアンテナを張る必要があります。

 

 

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サンプル⇒「働き方改革関連法」中小企業の時間外労働の上限規制導入は?

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