法律問題では、「自分に権利があるか」に意識が向きがちです。
しかし実務では、それだけでは足りません。
権利の内容を定める“実体法”と、その権利をどのような手順で実現するかを定める“手続法”は、実際の紛争対応では密接に関係しています。
実体法と手続法――権利を“現実に動かす”という視点
法律問題では、
「自分には権利がある」
「相手が間違っている」
という点に意識が向きがちです。
しかし、実務ではそれだけでは足りません。
法律には、大きく分けて、
権利や義務の中身を定める「実体法」と、
その権利をどのような手順で実現するかを定める「手続法」があります。
実体法とは、
権利や義務がどのように発生し、変更され、消滅するかを定める法です。
民法、商法、会社法、労働法などは、
主にこの実体法に関わります。
例えば、
・売買代金を請求できるか
・損害賠償を求められるか
・契約を解除できるか
・株主としてどのような権利を行使できるか
・労働契約上、どのような義務があるか
といった問題は、実体法の問題です。
これに対し、手続法とは、
その権利や主張を、どのような手順で実現するかを定める法です。
民事訴訟法、民事執行法、民事保全法などがこれに当たります。
例えば、
・どの裁判所に訴えるか
・どのような証拠を提出するか
・いつまでに主張を出すか
・仮差押えや仮処分を使うか
・判決後、どのように回収するか
といった問題です。
実務上重要なのは、
「実体法上は正しい」ことと、
「手続上、実現できる」ことは、同じではないという点です。
権利があるように見えても、
証拠が不足していれば認められないことがあります。
主張としては成り立っても、
時期を誤れば不利になることがあります。
交渉で有利に見えても、
訴訟になった場合に維持できないこともあります。
逆に、
手続の選択を誤ると、
本来守れたはずの権利や選択肢を失うこともあります。
法律問題では、
「何が正しいか」だけでなく、
「どの順番で、どの手続を使い、どの証拠で通すか」
が重要になります。
特に、企業間紛争、事業承継、株主間対立、労務問題、相続問題などでは、
実体法上の権利関係と、手続上の進め方を切り離して考えることはできません。
早く動くべき場面もあれば、
証拠を整え、主張の順序を設計してから動くべき場面もあります。
大切なのは、
「法律上どうか」だけでなく、
「現実にどのように実現するか」まで見据えて判断することです。
実体法は、権利義務の中身を定めます。
手続法は、その権利義務を現実に動かすための道筋を定めます。
法律問題においては、
この二つを分けて理解しながら、
同時に一体として運用することが重要です。
当事務所では、
単に「権利があるかどうか」だけでなく、
その権利をどのように主張し、証明し、実現するかという観点から、
事案全体を整理することを重視しています。
裁判のルールという観点からは,
「裁判での勝敗と意外な裁判所のルール」
(「立証責任」と「証明責任」、「悪魔の証明」)
実際の裁判官の判断プロセスに関心がある方は,
「裁判官の先入感、偏見、独断との闘い」
裁判に負けるタイプという視点からは,
「裁判に〝負ける〟方法」
をご一読ください。
あわせてお読みください:
「判断の現場に立ち続けるということ」
(法律問題に向き合う姿勢について)
関連ページのご案内
本稿でお伝えした考え方や姿勢について、より具体的に整理したページをご案内します。
ご関心のある箇所から、ご確認ください。
当事務所の基本的な考え方
― 法律問題に対して、どのような姿勢で向き合っているのかをまとめています。
感情や立場が絡み合う場面で、何を基準に「判断」しているのかを明らかにしています。
ご相談をお受けする際の当事務所の姿勢
― どのようなご相談をお受けし、どのように状況を整理しているかについてご説明しています。
「話を聞く」ことと「結論を出す」ことの違いを、実務の視点から整理しています。
法律相談をご検討中の方へ
― 法律相談をどのような位置づけで行っているのか、相談の流れとあわせてご案内しています。
ご相談の前に知っておいていただきたい点をまとめています。






