相手から証拠を求められても、手元にある資料をすぐにすべて渡す必要があるとは限りません。
まず、誰が、どのような根拠で、何のために求めているのかを確認します。
証拠は、存在するかどうかだけでなく、いつ、何を、どこまで示すかによって意味が変わります。
証拠を出してくださいと言われたら
「その証拠を見せてください」
「資料があるなら、すべて提出してください」
このように言われると、自分の主張が正しいことを示すため、手元の資料をすぐに相手へ送ろうとすることがあります。
しかし、証拠を持っていることと、直ちに相手へ渡さなければならないことは別です。
まず、誰が何のために求めているのかを確認する
証拠や資料を求められたときは、最初に要求の性質を確認します。
- 相手方が交渉の中で任意に求めているのか
- 契約上、資料を提出する義務があるのか
- 裁判所や行政機関から正式に提出を求められているのか
- 相手は、その資料によって何を確認しようとしているのか
相手方から任意に求められた場合と、裁判所から正式に提出を命じられた場合とでは、対応が異なります。
提出を断るか、すべて応じるかをすぐに決めるのではなく、要求の根拠と目的を確認する必要があります。
一つの資料だけでは、違う意味に読まれることがある
メール、議事録、写真、録音、契約書などは、一部分だけを取り出すと、実際の経過とは違う意味に受け取られることがあります。
例えば、一通のメールだけでは、その前後にどのような連絡があったのか、誰がどのような立場で発言したのかが分からないことがあります。
そのため、資料を出す前に、次の点を確認します。
- 資料の前後に関連するやり取りがないか
- 別の資料と内容が食い違っていないか
- 第三者の情報や秘密情報が含まれていないか
- 相手が資料の一部分だけを利用する可能性がないか
自分に有利に見える資料であっても、相手へ渡した後に、別の意味で使われることがあります。
証拠は保存し、出し方は別に判断する
証拠をすぐに出さないことと、隠したり削除したりすることは全く別です。
原本やデータは変更せずに保存し、いつ、どこで、誰が作成したものかを確認できる状態にしておく必要があります。自分に不利に見える資料も、削除してはいけません。
そのうえで、提出する必要があるのか、どの範囲を、どの時期に、どのような説明とともに示すのかを判断します。
証拠は、「あるから出す」のではなく、その証拠がどのように読まれ、その後の交渉や裁判にどう影響するかを考えて扱う必要があります。
証拠の存在を確認し、確実に保存すること。その証拠をいつ、何と組み合わせ、どこまで示すかを別に考えること。それが、最初の判断になります。
当事務所では、
目の前の法的正解だけではなく、
初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。
実際の紛争や経営判断では、初動で何を整理し、何を守り、何を優先するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。
そのため、法律的な見通しをご説明するだけでなく、状況や選択肢を整理し、依頼者の方が納得して判断できるよう支援することを大切にしています。
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