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「すぐ返事をしてください」と言われたら――相手の時間軸で判断しないために|一呼吸おいて「最初の判断」

 

相手から返事を急かされると、何か答えなければ不利になるように感じます。しかし、急いで返すべきことと、確認せずに答えてはいけないことは別です。最初に必要なのは、相手が設定した時間の中で結論を出すことではなく、何を、いつまでに、どこまで回答する必要があるのかを切り分けることです。

「すぐ返事をしてください」と言われたら

「今日中に返事をしてください」

「明日までに回答がなければ、同意したものとみなします」

「すぐに回答しなければ、法的措置を取ります」

このように言われると、内容を十分に確認できていなくても、何か返事をしなければならないように感じます。

しかし、相手から急かされたことと、こちらが直ちに結論を出さなければならないことは、同じではありません。

相手が決めた期限が、そのまま法的期限とは限らない

最初に確認したいのは、相手が示した期限の性質です。

期限には、法律や裁判所の手続によって定められたものもあれば、契約上の期限、交渉を進めるための期限、相手が一方的に設定した期限もあります。

これらを区別せず、

期限を示されたから、すぐに結論を返さなければならない

と考える必要はありません。

もっとも、通知を放置してよいということでもありません。裁判所から届いた書類、株主総会や団体交渉に関する通知、契約の解除・更新、異議申立てなど、対応が遅れることで権利や手続上の立場に影響するものもあります。

したがって、まず確認すべきなのは、期限に従うか無視するかではなく、

  • 誰が、どのような立場で回答を求めているのか
  • 何について回答を求められているのか
  • その期限に法的・契約上の根拠があるのか
  • 回答しないことで、何が起きる可能性があるのか

という点です。

受け取ったことを伝えるのと、結論を答えるのは別です

返事を急かされた場合でも、直ちに「承諾します」「拒否します」と結論を出す必要があるとは限りません。

状況によっては、

ご連絡は受領しました。

内容を確認のうえ、改めて回答します。

と伝え、まず時間を確保する方法があります。

これは、相手の要求を認める回答ではありません。連絡を受け取ったことと、相手の主張や提案に同意することを分ける対応です。

ただし、暫定的な回答であっても、書き方によっては、一部の事実や責任を認めたと受け取られることがあります。「とりあえず返しておこう」と書いたメールやメッセージが、後の交渉や裁判で証拠になることもあります。

短い返事だから影響も小さいとは限りません。

急がせること自体が、相手の交渉手段である場合もある

相手が返事を急がせる理由は、一つではありません。

本当に差し迫った手続がある場合もあれば、こちらが資料を確認したり、専門家へ相談したりする前に、承諾や発言を引き出そうとしている場合もあります。

そこで必要なのは、相手の言葉に反射的に答えることではなく、

  • なぜ、今すぐ回答を求めているのか
  • 相手は、こちらからどのような言葉を引き出そうとしているのか
  • 回答した後、相手は何をしようとしているのか
  • いったん答えた内容を、後で修正できるのか

まで考えることです。

返事の内容だけでなく、返事を求めている相手の目的と、その次の動きを見る必要があります。

急ぐべきなのは、結論ではなく「期限の確認」です

返事を急かされたとき、何日もそのままにしてよいわけではありません。

しかし、最初に急いで行うべきなのは、必ずしも結論を出すことではありません。

まず、届いた書面やメールを保存し、契約書や関係資料を確認し、回答期限の性質と、回答した場合・しなかった場合の影響を整理します。そのうえで、直ちに結論を返すのか、受領だけを伝えるのか、回答期限の延長を求めるのかを判断します。

重要なのは、

相手が設定した時間の中で、相手が示した選択肢から答えを選ばないこと

です。

最初の返事が、その後の進み方を変えることがあります

会社支配権、少数株主、建設請負、使用者側労務・団体交渉、立退きなど、問題の分野が異なっても、最初の返事がその後の交渉や手続に影響する点は共通しています。

当事務所では、返事の文面だけを切り離して考えるのではなく、相手が回答を求める目的、法的な期限の有無、資料や証拠の状況、次に予想される手続まで確認します。

「すぐ返事をしてください」と言われたときこそ、急いで結論を出すのではなく、何を急ぎ、何をいったん保留するべきかを判断することが、最初の対応になります。

 

当事務所では、

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として35年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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