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第2回 残業問題が会社を潰す!

月刊「財界さっぽろ」2011年06月取材

会社を守る法律講座

――最近、残業代請求をよく耳にします。

前田 過払い金バブルで、消費者金融を相手に稼いでいた弁護士たちが、次の市場として精力を傾け始めたのが要因ともいわれています。

残業代は、最低でも2割5分割増で計算されますが、未払いで争われた場合は法律上、損害利息として5%から14・6%が加算されます。

残業代と同額の付加金の支払いを命じられる場合もあり、過払い請求の増加が、サラ金を弱体化させたように、企業にとって、存亡にかかわる大問題になります。

――会社は、事前に対応策を講じていたのでは

前田 残業代を請求された経営者は、

  • 「残業代は支給しないを同意していた」
  • 「基本給に残業代を含めて金額を決めていた」
  • 「管理職手当・精勤手当等の手当に残業代が含まれている」
  • 「歩合給を払っている」
  • 「年俸制にしている」
  • 「管理監督者である」
  • 「時間外に仕事を命じていない」
  • 「休憩していて仕事をしていない」

などと反論します。しかし裁判では、ほとんど通用しません。従業員が同意した書面を作っていても同じです。

――一斉に残業代が請求されたら、大変なことになりますね。

前田 時効があるので2年分は支払わなければなりません。1度総額払った場合を試算してみるといいと思います。中小企業でも、1000万円を超えてしまうこともあります。

――実例はどうなっていますか。

前田 日本マクドナルドが直営店の店長、いわゆる“名ばかり管理職”に残業代を払わないのを違法とした裁判例は、ご存じの方も多いと思います。

最近では、深夜労働ならば、本当の管理監督者であっても「割増賃金請求が可能である」と最高裁は明言しています。

――ほかにはどんな例が。

前田

  • 仮眠時間や、空き時間にパソコンで遊んだ場合も労働時間に含まれるとした事例
  • 旅行添乗員は、事業場外みなし労働時間制の適用を受けないとして、約2300万円の残業代の支払いが命じられた事例
  • タイムカードの始業時刻から就業時刻まですべてが労働時間と算定された事例
  • 労働者自身が作成した超勤時間整理簿をもとに、残業時間を認定した事例

などがあります。事件ごとに個性や特殊性があり、専門的な見地から、具体的な状況を詳細に検討し、落としどころを探っていかなければならないのです。

社員の退社をきっかけに会社内に労働組合ができ、労使間に緊張関係が会社全体に及んでしまうことも想定されます。闘うことを熟知した専門家にきちんと相談する必要があります。

使用者側の労働問題については、無料で相談を受けていますので、ぜひご利用ください。

 

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サンプル⇒「働き方改革関連法」中小企業の時間外労働の上限規制導入は?

前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
ただ、私独自の強みを生かすことを、増員・規模拡大によって実現することに限界を感じています。今は、依頼者と自ら対座して、依頼者にとっての「勝ち」が何なのかにこだわりながら、最善の解決を実現を目ざす体制の構築に注力しています。実践面では、見えないところの力学活用と心理戦について蓄積があると自負しています。

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