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非上場株式を持ったまま何年も動けないときはどうする?|少数株主が現状を整理する方法|最初の判断【少数株主篇】

 

非上場会社の株式は、売却先が見つからず、配当もないまま、何年も保有し続けることがあります。

すぐに会社と交渉する必要があるとは限りません。しかし、何もしないまま時間が経つことも、中立ではありません。まず、なぜ動けないのか、現在どのような立場にあるのか、将来どの時点で動くのかを整理する必要があります。

株式を持ったまま何年も動けないときはどうする?

非上場会社の株式を持っているものの、何年も何もできず、そのままになっている。

そのようなご相談があります。

例えば、

  • 会社へ売却を申し入れたが、取り合ってもらえなかった
  • 買取価格が安すぎて、話が止まった
  • 買い手が見つからない
  • 親族との関係を悪化させたくない
  • 株主総会の通知も配当もない
  • 何を会社へ求められるのか分からない
  • 相続した株式なので、取得の経緯もよく分からない

という場合です。

非上場株式には上場株式のような市場がありません。

また、多くの非上場会社では、株式の譲渡について会社の承認が必要です。そのため、売りたいと思っても、すぐに換金できるとは限りません。

しかし、長期間動けないからといって、株式そのものに価値がないとは限りません。

最初に必要なのは、直ちに会社と交渉することではなく、なぜ現在の状態になっているのかを整理することです。

動けない理由は一つではありません

株式を長期間保有したままになる理由は、事案によって異なります。

大きく分けると、次のような事情があります。

  • 誰に売ればよいのか分からない
  • 会社が買い取ってくれない
  • 提示された価格に納得できない
  • 会社の情報がなく、株価を判断できない
  • 株主であること自体を会社が認めていない
  • 親族関係を壊したくない
  • 会社へ連絡すると不利益を受けそうで不安である
  • 売るべきか、持ち続けるべきか決められない

これらは同じ問題ではありません。

買い手の問題なのか、価格の問題なのか、情報不足の問題なのか、家族関係の問題なのかによって、最初にするべきことが変わります。

「何年も動けない」という結果だけでなく、何が動きを止めているのかを確認します。

▶ 非上場会社の株式を持っているが、どうしたらよいか分からない方へ

何年経っても、株主でなくなるとは限りません

長い間、株主総会へ出席していない。

配当を受けていない。

会社とも連絡を取っていない。

そのような場合でも、それだけで当然に株主でなくなるわけではありません。

一方で、会社側では、

  • 既に株式を譲渡したことになっている
  • 別の親族が株主として記載されている
  • 相続後の名義変更が行われていない
  • 名義だけの株主だったと説明されている
  • 株主名簿と実際の権利関係が一致していない

ということがあります。

したがって、長期間動いていない場合ほど、最初に株主としての現在地を確認する必要があります。

まず集めたい資料

可能な範囲で、次のような資料を集めます。

  • 定款
  • 株主名簿
  • 株券
  • 株式を取得した際の契約書や領収書
  • 出資や払込みを示す資料
  • 遺言書、遺産分割協議書などの相続資料
  • 過去の株主総会招集通知や議事録
  • 配当関係の書類
  • 会社の決算書や税務関係資料
  • 会社や他の株主とのメール・手紙
  • 過去に提示された株式の買取条件

すべての資料がそろっていなくても構いません。

まず、何があり、何がないのかを確認すること自体が、現状整理になります。

「会社が買い取らないから動けない」とは限りません

非上場株式を手放したい場合、会社に買い取ってもらうことだけが選択肢ではありません。

一般には、

  • 会社による買取りを協議する
  • 経営者や他の株主への売却を検討する
  • 親族など第三者への譲渡を検討する
  • 譲渡承認に関する会社法上の手続を検討する
  • 当面は保有を続ける

という選択肢があります。

ただし、会社に対して「株式が不要だから買い取ってほしい」と申し入れれば、会社に当然の買取義務が生じるわけではありません。

譲渡制限株式について法律上の手続を利用する場合には、具体的な譲渡先、会社の承認、承認しない場合の買取りに関する請求などを検討する必要があります。

また、会社が自社株式を取得する場合には、会社法上の手続や財源に関する制限も問題になります。

会社が任意に買い取らないというだけで、すべての可能性がなくなったと考えるべきではありません。

▶ 非上場会社の少数株主が株式を売却したいとき、本当に問題になるのは何か

持ち続けることも、一つの選択肢です

株式は、必ず売却しなければならないものではありません。

会社の将来性、配当の可能性、事業承継の見通しなどを考え、保有を続けることが合理的な場合もあります。

しかし、保有を続けるのであれば、

  • 株主総会の通知を受けられる状態か
  • 会社の経営状況をどのように確認するか
  • 配当方針をどう見るか
  • 自分が亡くなった後、誰が株式を相続するか
  • 次の相続で株主がさらに分散しないか
  • 将来、どの出来事をきっかけに再検討するか

を決めておく必要があります。

「今は売らない」という判断と、「何も決めずに放置する」ことは異なります。

何もしない間にも、会社は変化します

株主が動かない間にも、会社ではさまざまな変化が起こります。

例えば、

  • 経営者が交代する
  • 事業承継が進む
  • 他の株主の相続が発生する
  • 株式が他の親族へ移転する
  • 会社の資産や事業が売却される
  • M&Aや組織再編が行われる
  • 会社の業績が大きく変化する
  • 古い資料や関係者の記憶が失われる

ということがあります。

会社の価値が上がることもあれば、下がることもあります。

また、時間の経過によって、個別の請求権に消滅時効が問題となったり、会社の決議などを争うための期間が経過したりすることもあります。

したがって、「今すぐ争わない」という判断をする場合でも、期限や会社の変化を確認しておく必要があります。

いきなり権利行使から始める必要はありません

長期間何もしてこなかったことに焦りを感じ、突然、

  • 帳簿をすべて開示するよう要求する
  • 株式を直ちに買い取るよう求める
  • 経営者の責任を追及すると通知する
  • 株主総会決議の無効を主張する

という対応を取ることがあります。

しかし、会社の状況、株主構成、自分の目的を確認しないまま権利行使を始めると、必要な情報が集まる前に会社側との対立が表面化することがあります。

反対に、関係悪化を恐れて会社の言うとおりに書面へ署名すると、株式やその他の権利を失う可能性があります。

最初の行動は、強い要求を出すことではなく、判断に必要な資料と事実を確保することです。

「いつ動くか」を決めておきます

現時点で直ちに売却や交渉を始めないとしても、再検討する時期や条件を決めておくことができます。

例えば、

  • 次の決算が確定したとき
  • 経営者が交代するとき
  • 事業承継が具体化したとき
  • M&Aの話が出たとき
  • 他の株主から売却の申入れがあったとき
  • 自分や親族の相続対策を始めるとき
  • 一定期間、配当や説明がない状態が続いたとき

などです。

このように基準を決めておけば、「何となく持ち続ける」状態から離れることができます。

最初に整理したい七つのこと

株式を持ったまま何年も動けないときは、少なくとも次の点を整理します。

  1. 自分が株主であることを、どの資料で確認できるか
  2. 何株を、いつ、どのように取得したのか
  3. 現在の株主構成と経営支配関係はどうなっているか
  4. 会社の財務・事業の状況を、どこまで把握できているか
  5. なぜこれまで動けなかったのか
  6. 売却、保有継続、情報確認のうち、何を目的とするのか
  7. 今動かない場合、いつ、何をきっかけに再検討するのか

ここまで整理すると、問題が、

  • 株主資格の確認
  • 情報収集
  • 株価評価
  • 売却先の確保
  • 会社との交渉
  • 相続・事業承継
  • 法律上の権利行使

のどこにあるのかが見えてきます。

▶ 少数株主の株式売却では、何を整理し、何を決めるのか

「動けない状態」を、そのまま結論にしない

非上場株式を長期間保有している場合、直ちに売却できるとは限りません。

また、すぐに会社と争うことが適切とも限りません。

しかし、

これまで何もできなかったから、これからも何もできない

とは限りません。

過去の経緯と現在の資料を整理し、選択肢を把握したうえで、今動くのか、条件が整うまで待つのかを決めることができます。

少数株主問題では、売却という結果だけでなく、いつまで待つのか、待つ間に何を確保するのか、どの変化を捉えて動くのかという時間の設計が重要になります。

※本稿は一般的な情報を整理したものです。株主としての権利、会社への請求、手続の期限などは、定款、持株割合、株式取得の経緯、会社の状況によって異なります。

 

当事務所では、
目の前の法的正解だけではなく、
初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。

実際の紛争や経営判断では、初動で何を整理し、何を守り、何を優先するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。

そのため、法律的な見通しをご説明するだけでなく、状況や選択肢を整理し、依頼者の方が納得して判断できるよう支援することを大切にしています。

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前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として35年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

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