札幌市中央区南1条西11-1コンチネンタルビル9階
地下鉄東西線「西11丁目駅」2番出口徒歩45秒

非上場会社から株主総会の通知が突然届いたら|少数株主が最初に確認すること|最初の判断【少数株主篇】

 

これまで会社から連絡がなかったのに、突然、株主総会の招集通知が届くことがあります。

まず見るべきなのは、出席するかどうかだけではありません。いつ、誰から、どの議案について通知が届き、会社が今なぜ株主総会を開こうとしているのかを確認する必要があります。

株主総会の通知が突然届いたら

非上場会社の株式を持っているものの、これまで会社とはほとんど接点がなかった。

ところが突然、株主総会の招集通知が届いた。

そのような場合、

「出席しなければならないのか」
「委任状を返送してよいのか」
「突然送られてきたのは、会社で何か起きているからではないか」
「自分を株主として認めたということなのか」

と戸惑うことがあります。

株主総会の通知は、単なる事務連絡である場合もあります。

しかし、取締役の交代、定款変更、株式に関する手続、事業承継、経営権の整理など、会社の重要な動きの入口であることもあります。

通知が届いたら、返事をする前に、その内容と背景を確認します。

通知一式を、そのまま保存します

最初に、届いた書類を封筒も含めて保存します。

確認するものは、例えば次のとおりです。

  • 封筒と消印
  • 招集通知
  • 株主総会参考書類
  • 議決権行使書
  • 委任状
  • 計算書類や事業報告
  • 議案に関する説明資料
  • 返信用封筒
  • メールや電子通知で届いた場合は、その送受信記録

届いた日も記録しておきます。

招集手続や決議後の対応では、いつ通知されたか、いつ株主総会が開催されたかが問題になることがあるからです。

最初に確認したい基本事項

招集通知では、少なくとも次の事項を確認します。

  1. 会社名と通知の差出人
  2. 株主総会の開催日時
  3. 開催場所や開催方法
  4. 定時株主総会か、臨時株主総会か
  5. 議案の内容
  6. 自分の議決権数
  7. 書面による議決権行使の期限
  8. 委任状の提出を求められているか
  9. 添付されている資料と不足している資料

会社の名称、代表者、持株数などが自分の認識と違っている場合には、その点も記録します。

最も重要なのは、議案の内容です

株主総会の通知が届くと、開催日時や出欠回答に目が向きがちです。

しかし、最も重要なのは、何を決議しようとしているのかです。

例えば、

  • 取締役や監査役の選任・解任
  • 役員報酬
  • 剰余金の配当
  • 定款の変更
  • 新株の発行
  • 株式の併合
  • 自己株式の取得
  • 事業譲渡
  • 合併、会社分割その他の組織再編
  • 解散
  • 事業承継に関係する事項

などが議案となることがあります。

一見すると形式的な議案でも、株主構成や会社支配権、少数株主の地位に大きな影響を及ぼす場合があります。

議案名だけでなく、決議された場合に、誰の地位が強まり、誰の権利や選択肢が変わるのかを確認する必要があります。

▶ 会社の経営権を巡る対立が起きたとき、最初に整理したいこと

なぜ今、通知が届いたのか

これまで株主総会の通知が届いていなかったのに、今回初めて届いたのであれば、その理由も考えます。

例えば、

  • 会社が株主名簿を整理した
  • 経営者や後継者が交代する
  • 株主間の対立が起きている
  • M&Aや事業承継の準備が進んでいる
  • 過去の株主総会手続に問題があると認識した
  • 少数株主の協力または賛成が必要になった
  • 将来の紛争に備えて、手続を整えようとしている

という可能性があります。

通知が届いたことだけで会社側の意図を断定することはできません。

しかし、通知の時期、議案、これまでの経緯を併せて見ると、会社が何を進めようとしているのかが見えることがあります。

▶ 非上場会社の株式を持っているが、どうしたらよいか分からない方へ

出席しなければ、株主ではなくなるのか

株主総会に出席しなかったからといって、それだけで株主でなくなるわけではありません。

また、欠席しただけで株式を失うわけでもありません。

しかし、欠席しても、必要な賛成数が集まれば決議は成立します。

したがって、

出席する義務があるか

だけではなく、

この議案について意思表示をする必要があるか

という観点で考える必要があります。

出席、書面による議決権行使、代理人による出席、何もしないという対応には、それぞれ異なる意味があります。

委任状へ安易に署名しない

招集通知に委任状が同封されていることがあります。

委任状に署名押印すれば、代理人が株主総会で議決権を行使することになります。

特に、

  • 代理人の氏名が空欄になっている
  • 議案への賛否が記載されていない
  • 「一切の権限を委任する」など、内容が広い
  • 株主総会以外の手続にも使えるように読める
  • 株式譲渡や権利放棄に関する書類も同封されている

という場合には、内容を確認する必要があります。

親族や会社の担当者から、

形式だけだから署名してほしい
いつもこの方法で処理している
欠席するなら委任状だけ返してほしい

と言われても、議案と委任内容を確認しないまま返送することは避けるべきです。

出席する場合にも準備が必要です

株主総会に出席すれば、当然に会社の情報がすべて得られるわけではありません。

事前に、

  • どの議案について確認したいのか
  • 何を質問するのか
  • どの資料を持参するのか
  • 発言や会社側の回答をどう記録するのか
  • どの議案に賛成・反対するのか
  • 質問への回答がなかった場合にどうするのか

を整理しておく必要があります。

感情的な家族間の非難や、議案と直接関係のない問題を一度に持ち出すと、本来確認したかった点が曖昧になることがあります。

株主総会を、長年の不満をすべて伝える場と考えるのではなく、今回の議案について必要な事実と意思表示を残す場として使うことが重要です。

通知内容に疑問があるとき

次のような場合には、招集手続や議案を詳しく確認する必要があります。

  • 開催日までほとんど時間がない
  • 自分の議決権数が違っている
  • 議案の説明資料が不足している
  • 通知にない事項を決議しようとしている
  • 株式の併合や定款変更など、株主の地位に影響する議案がある
  • 会社側が委任状の返送を強く求めている
  • 他の株主には別の説明がされている
  • 過去の株主総会についても疑問がある

もっとも、手続に疑問があるからといって、直ちに株主総会が無効になるわけではありません。

招集手続や決議方法の問題、決議内容の問題などによって、検討する制度や対応が異なります。

株主総会が終わった後では遅いことがあります

株主総会決議を争う方法には、決議取消しの訴えなどがあります。

そのうち決議取消しの訴えには、原則として決議の日から3か月以内という期間があります。問題の内容によっては、別の制度が問題になることもあります。

また、決議が実行される前に対応しなければ、会社や第三者との法律関係がさらに進む場合があります。

したがって、重要な議案が含まれている場合には、

株主総会が終わってから考える

のではなく、総会前に、何を確認し、どのように議決権を行使し、どの記録を残すかを検討する必要があります。

最初に整理したい七つのこと

株主総会の通知が突然届いたら、少なくとも次の点を整理します。

  1. いつ、どのような方法で通知が届いたか
  2. 定時総会か臨時総会か
  3. 何を決議しようとしているのか
  4. 自分の持株数と議決権数は正しいか
  5. 決議によって、誰の地位と利益がどう変わるのか
  6. 出席、書面投票、委任、欠席のどれを選ぶのか
  7. 総会前または総会後に対応すべき期限があるか

通知が届いた時点では、まだ会社側の提案が決まった結果になったわけではありません。

まず資料を保存し、議案と会社の動きを整理したうえで、自分がどのように対応するかを決めます。

▶ 少数株主の株式売却では、何を整理し、何を決めるのか

通知は、会社の動きを知る入口です

株主総会の通知は、単に出欠を尋ねる書類ではありません。

そこには、

  • 会社が今、何を決めようとしているのか
  • 誰が会社を動かそうとしているのか
  • 株主構成や経営体制をどう変えようとしているのか
  • 少数株主に何を求めているのか

が表れることがあります。

大切なのは、届いた通知に反射的に返答することではありません。

通知を、会社の現在地と今後の動きを確認するための資料として読むことです。

※本稿は一般的な情報を整理したものです。招集手続、議決権、決議要件、決議を争う方法や期限は、会社の機関設計、定款、議案、持株割合などによって異なります。

 

当事務所では、
目の前の法的正解だけではなく、
初動・情報整理・損失配分・将来維持可能性を含めた現実判断を重視しています。

実際の紛争や経営判断では、初動で何を整理し、何を守り、何を優先するかという判断が、その後の結果を大きく左右します。

そのため、法律的な見通しをご説明するだけでなく、状況や選択肢を整理し、依頼者の方が納得して判断できるよう支援することを大切にしています。

少数株主について、ほかの質問を確認する

▶ 最初の判断|少数株主でよくある質問

関連記事

▶ 非上場会社の株式を持っているが、どうしたらよいか分からない方へ

▶ 少数株主の株式売却では、何を整理し、何を決めるのか

▶ 会社の経営権を巡る対立が起きたとき、最初に整理したいこと

▶ 会社支配権事件は法律論だけで決まらない――判断経路をどう設計するか

前田 尚一(まえだ しょういち)
弁護士として35年以上の経験と実績を有し、これまでに多様な訴訟に携わってまいりました。顧問弁護士としては、常時30社を超える企業のサポートを直接担当しております。
依頼者一人ひとりの本当の「勝ち」を見極めることにこだわり、長年の経験と実践に基づく独自の強みを最大限に活かせる、少数精鋭の体制づくりに注力しています。特に、表面に見えない企業間の力学や交渉の心理的駆け引きといった実務経験は豊富です。 北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校、北海道大学法学部卒業。

“d˜bƒtƒŠ�[ƒ_ƒCƒ„ƒ‹24ŽžŠÔ �\‚µ�ž‚݃tƒH�[ƒ€